• ホーム
  • マウスにおいてT細胞受容体のコンホメーション変化はT細胞サブセットの発生を特異的に決定する

マウスにおいてT細胞受容体のコンホメーション変化はT細胞サブセットの発生を特異的に決定する

Conformational changes in the T cell receptor differentially determine T cell subset development in mice

Research Article

Sci. Signal., 2 December 2014
Vol. 7, Issue 354, p. ra115
DOI: 10.1126/scisignal.2005650

Raquel Blanco1, Aldo Borroto1, Wolfgang Schamel2, Pablo Pereira3,*, and Balbino Alarcon1,*

1 Centro de Biología Molecular Severo Ochoa, Consejo Superior de Investigaciones Científicas, Universidad Autónoma de Madrid, 28049 Madrid, Spain.
2 BIOSS Centre for Biological Signalling Studies, Faculty of Biology, University of Freiburg and Max Planck Institute for Immunobiology and Epigenetics, 79108 Freiburg, Germany.
3 Institut Pasteur, Unité Limphopoïese, INSERM U668, 75015 Paris, France.

* Corresponding author. E-mail: balarcon@cbm.uam.es (B.A.); ppereira@pasteur.fr (P.P.)

要約 胸腺では、未成熟なT細胞が共通の前駆体から分化し、αβまたはγδ T細胞受容体(TCR)複合体を発現するT細胞になる。TCR複合体のCD3εサブユニットは、サイトゾルアダプタータンパク質Nckを動員することで、リガンドにより誘発されるTCRのコンホメーション変化を伝達すると考えられている。T細胞の発生におけるTCRコンホメーション変化の役割を検討するために、われわれは、CD3εの細胞外ドメインに生殖系列の変異を有するマウス(C80G)を作成した。この変異は、TCRコンホメーション変化の外部から内部への伝達を阻害する。C80Gマウスにおけるαβ T細胞の発生は、TCRの前駆体によるシグナル伝達に依存する初期段階に遮断された。対照的に、C80G変異は、Vγ1.1+細胞を含むγδ T細胞の一部のサブセットの発生は損なわなかったが、他のγδ T細胞サブセットの発生は遮断された。Nck結合部位であるCD3εの細胞質プロリンリッチ配列(PRS)に変異を有するマウスでは、同様の表現型が観察された。遺伝的相補性検査では、PRS CD3ε変異体は、C80G変異体とヘテロ接合性に発現された場合、野生型の表現型を救済することができなかった。これらのデータから、T細胞の発生において、Nckは、TCRコンホメーション変化のエフェクターとして機能するかもしれないことが示唆される。さらなる実験から、C80G変異がTCR依存性シグナル伝達経路の活性化に異なる影響を与えることが示されたことから、受容体のコンホメーション変化の伝達に依存する経路と依存しない経路があることが示唆される。

R. Blanco, A. Borroto, W. Schamel, P. Pereira, and B. Alarcon, Conformational changes in the T cell receptor differentially determine T cell subset development in mice. Sci. Signal. 7, ra115 (2014).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2014年12月2日号

Editors' Choice

細胞生物学
ハンチンチンはオートファジーに適応する

Research Article

EGFR/HER3ヘテロ二量体の構造解析によってHER3活性化変異体の分子基盤が明らかになる

マウスにおいてT細胞受容体のコンホメーション変化はT細胞サブセットの発生を特異的に決定する

Research Resources

定量的プロテオミクスにより明らかになったE-カドヘリンインタラクトームの複雑性および頑健性

最新のResearch Article記事

2025年04月22日号

がん細胞の再上皮化がオートファジーとDNA損傷を増加させる:乳がんの休眠と再発への影響

2025年04月08日号

統合失調症治療薬チオチキセンはアルギナーゼ1および連続的なエフェロサイトーシスを誘導することによってマクロファージを刺激して病原性細胞を除去する

2025年04月01日号

RIPK3はニューロンでRHIMドメイン依存性の抗ウイルス炎症転写を調整する

2025年03月25日号

細胞内RNAに結合するループス由来自己抗体はcGASに媒介される腫瘍免疫を活性化し、RNAを細胞へ送達することができる

2025年03月18日号

転移性前立腺がんにおいてキナーゼPLK1は、抗アンドロゲン剤エンザルタミドに対するヘッジホッグシグナル伝達依存性の耐性を促進する