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定量的プロテオミクスにより明らかになったE-カドヘリンインタラクトームの複雑性および頑健性

E-cadherin interactome complexity and robustness resolved by quantitative proteomics

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Sci. Signal., 2 December 2014
Vol. 7, Issue 354, p. rs7
DOI: 10.1126/scisignal.2005473

Zhenhuan Guo1, Lisa J. Neilson2, Hang Zhong1, Paul S. Murray3, Sara Zanivan2, and Ronen Zaidel-Bar1,4,*

1 Mechanobiology Institute of Singapore, National University of Singapore, Singapore 117411, Singapore.
2 Vascular Proteomics Laboratory, Cancer Research UK Beatson Institute, Glasgow G61 1BD, UK.
3 Departments of Biochemistry and Molecular Biophysics and Systems Biology, and Center of Computational Biology and Bioinformatics, Columbia University, New York, NY 10032, USA.
4 Department of Biomedical Engineering, National University of Singapore, Singapore 117575, Singapore.

* Corresponding author. E-mail: biezbr@nus.edu.sg

要約 E-カドヘリンを介した細胞間接着およびシグナル伝達は、健康な上皮組織の発生と維持に必須の役割を果たしている。E-カドヘリンを介した接着性はその細胞外カドヘリンドメインにより付与され、その細胞質側末端と会合している細胞内アダプターと酵素の集合体により調節されている。われわれは近位ビオチン標識と定量的プロテオミクスを用い、E-カドヘリンの細胞質側末端に近接した561のタンパク質を同定した。さらにプロテオミクスを用いて、E-カドヘリン含有接着班と結合したタンパク質を細胞-ガラス境界面から同定した。これにより、推定E-カドヘリン相互作用タンパク質の細胞内局在への帰属が可能となった。さらに、同定したタンパク質をGFP(緑色蛍光タンパク質)により標識することで、83の推定的E-カドヘリン近位たん白質の細胞内局在を明らかにし、これまで特徴づけされていなかった24種類のたんぱく質を接着結合の一部として同定した。構造情報に基づくタンパク質-タンパク質相互作用データベースを用いて、既発表の79のタンパク質と、これまで特徴づけされていない394のたんぱく質からなる、網羅的なE-カドヘリン相互作用ネットワークを構築し、特徴を明らかにした。最後に、細胞外E-カドヘリンドメインの相互作用を乱すカルシウムのキレート化は、E-カドヘリンとの細胞内タンパク質相互作用の大半を乱さないことを見いだした。このことは、E-カドヘリンの細胞内インタラクトームは主に、細胞間接着に依存しないことを示唆している。

Z. Guo, L. J. Neilson, H. Zhong, P. S. Murray, S. Zanivan, and R. Zaidel-Bar, E-cadherin interactome complexity and robustness resolved by quantitative proteomics. Sci. Signal. 7, rs7 (2014).

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