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メラニン形成細胞変換のセロトニン作動性制御:全か無かの確率的に起こる色素過剰症の生体電気的制御ネットワーク

Serotonergic regulation of melanocyte conversion: A bioelectrically regulated network for stochastic all-or-none hyperpigmentation

Research Article

Sci. Signal. 06 Oct 2015:
Vol. 8, Issue 397, pp. ra99
DOI: 10.1126/scisignal.aac6609

Maria Lobikin1, Daniel Lobo2, Douglas J. Blackiston1, Christopher J. Martyniuk3, Elizabeth Tkachenko1, and Michael Levin1,*

1 Biology Department and Center for Regenerative and Developmental Biology, Tufts University, Medford, MA 02155, USA.
2 Department of Biological Sciences, University of Maryland, Baltimore County, Baltimore, MD 21250, USA.
3 Center for Environmental and Human Toxicology and Department of Physiological Sciences, UF Genetics Institute, University of Florida, Gainesville, FL 32611, USA.

* Corresponding author. E-mail: michael.levin@tufts.edu

要約 アフリカツメガエル(Xenopus laevis)胚の「インストラクター細胞」において実験的に誘導した静止膜電位の脱分極は、メラニン形成細胞の過剰な増殖と遊走によりオタマジャクシで全か無かの様式で色素過剰症を引き起こすことがある。われわれは、この確率過程にセロトニンシグナル伝達、アデノシン3′,5′-一リン酸(cAMP)および転写因子cAMP応答エレメント−結合タンパク質(CREB)、Sox10、Slugが関与することを示した。ステージ15(早期神経胚)およびステージ45(自由遊泳オタマジャクシ)に採取された胚の転写マイクロアレイ解析は、対照胚とインストラクター細胞−脱分極剤イベルメクチンにさらされた胚の間で、それぞれ45と517の転写産物量の変化を明らかにした。バイオインフォマティクス解析は、差次的に制御されるいくつかの遺伝子のヒトホモログががんと関連し、変換したメラニン形成細胞の樹枝状分岐誘導および浸潤挙動と一致することを明らかにした。われわれは、色素細胞プールの増殖、細胞形態および移動性を制御するためインストラクター細胞、下垂体の黒色素胞刺激ホルモン産生細胞およびメラニン形成細胞との間のセロトニン作動性シグナル伝達を用いる生理学的回路を同定した。われわれは、このマルチスケールシグナル伝達系の確率性および特性を理解するため、様々な薬理学的および分子遺伝学的操作に応答して生じる全か無かの色素過剰症の表現型の頻度を再現する確率的動的モデルをリバースエンジニアリングするため、ネットワークモデルを繰り返し探索する計算機械学習法を用いた。この計算手法は、正常発生およびがんのような病理学的状態で起こる確率的な細胞意思決定への洞察を与えうる。

Citation: M. Lobikin, D. Lobo, D. J. Blackiston, C. J. Martyniuk, E. Tkachenko, M. Levin, Serotonergic regulation of melanocyte conversion: A bioelectrically regulated network for stochastic all-or-none hyperpigmentation. Sci. Signal. 8, ra99 (2015).

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