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脂肪組織におけるFTOの喪失はAngptl4の翻訳を減少させトリグリセリド代謝を変化させる

Loss of FTO in adipose tissue decreases Angptl4 translation and alters triglyceride metabolism

Research Article

Sci. Signal. 15 Dec 2015:
Vol. 8, Issue 407, pp. ra127
DOI: 10.1126/scisignal.aab3357

Chao-Yung Wang1,*, Shian-Sen Shie2, Ming-Shien Wen1, Kuo-Chun Hung1, I-Chang Hsieh1, Ta-Sen Yeh3, and Delon Wu1

1 Department of Cardiology, Chang Gung Memorial Hospital and Chang Gung University College of Medicine, Taoyuan 33302, Taiwan.
2 Department of Infectious Diseases, Chang Gung Memorial Hospital and Chang Gung University College of Medicine, Taoyuan 33302, Taiwan.
3 Department of General Surgery, Chang Gung Memorial Hospital and Chang Gung University College of Medicine, Taoyuan 33302, Taiwan.

* Corresponding author. E-mail: cwang@ocean.ag

要約 FTO(体脂肪量および肥満関連)遺伝子の頻度の高いバリアントは、肥満の危険因子である。われわれは、FTOの脂肪細胞特異的欠失を有するマウスにおいて、高脂肪食摂取時に、対照マウスよりも大きく体重が増加することを見出した。脂肪細胞のFTOを欠損したマウスに通常食を与えた場合の解析、またはこれらのマウスの脂肪細胞の解析によって、脂肪組織による脂肪酸貯蔵の増加を促進すると予測される、トリグリセリド代謝の変化が明らかになった。脂肪細胞のFTOを欠損したマウスでは、血清トリグリセリドの分解および排除の増加が認められ、これは血清トリグリセリド濃度の低下を伴った。さらに、変異マウスに由来する脂肪細胞およびex vivo脂肪外植片では、β-アドレナリン刺激に応答した脂肪分解が減少した。FTOは、mRNAからN6-メチルアデノシン(m6A)を除去する核酸脱メチル化酵素である。われわれは、FTOが、脂肪細胞において細胞内脂肪分解を刺激するアディポカインをコードする、Angptl4に結合することを見出した。予想外なことに、脂肪細胞のFTOを欠損した絶食または摂食マウスの脂肪組織では、Angptl4 mRNA存在量が大きくなっていた。しかし、高脂肪食摂取後、変異マウスでは対照マウスと比べて、Angptl4タンパク質が少なく、m6A-修飾Angptl4が多かったことから、FTOの不足によって、Angptl4の翻訳が妨げられたことが示唆された。脂肪細胞のFTOを欠損したマウスに、Angptl4をコードするアデノウイルスを注射すると、血清トリグリセリド濃度と脂肪分解が対照マウスと同程度の値まで回復し、高脂肪食による過剰な体重増加が消失した。これらの結果から、FTOは、部分的にAngptl4の転写後調節を介して、脂肪細胞における脂肪酸動員を調節し、それによって体重を調節することがわかる。

Citation: C.-Y. Wang, S.-S. Shie, M.-S. Wen, K.-C. Hung, I.-C. Hsieh, T.-S. Yeh, D. Wu, Loss of FTO in adipose tissue decreases Angptl4 translation and alters triglyceride metabolism. Sci. Signal. 8, ra127 (2015).

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