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キナーゼ阻害薬のネットワークレベルの作用が腸上皮のTNF-α誘導性アポトーシスを調節する

Network-level effects of kinase inhibitors modulate TNF-α–induced apoptosis in the intestinal epithelium

Research Article

Sci. Signal. 15 Dec 2015:
Vol. 8, Issue 407, pp. ra129
DOI: 10.1126/scisignal.aac7235

Jessica J. Gierut1,*, Levi B. Wood1,2,*, Ken S. Lau3,4, Yi-Jang Lin1, Casie Genetti1, Ahmed A. Samatar5, Douglas A. Lauffenburger2, and Kevin M. Haigis1,†

1 Cancer Research Institute, Beth Israel Deaconess Cancer Center and Department of Medicine, Harvard Medical School, Boston, MA 02215, USA.
2 Department of Biological Engineering, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA 02139, USA.
3 Chemical and Physical Biology Program, Vanderbilt University Medical Center, Nashville, TN 37232, USA.
4 Epithelial Biology Center and Department of Cell and Developmental Biology, Vanderbilt University Medical Center, Nashville, TN 37232, USA.
5 TheraMet Biosciences, Princeton Junction, NJ 08550, USA.

† Corresponding author. E-mail: khaigis@bidmc.harvard.edu

* These authors contributed equally to this work.

要約  個々のシグナル伝達経路は、より広いシグナル伝達ネットワークを背景として働いている。そのため、環境からのシグナルに対する細胞の応答は、ネットワーク中の構成要素の一部が阻害されているかどうかという臨床的に重要な例など、シグナル伝達ネットワークの状態に影響される。サイトカインの腫瘍壊死因子α(TNF-α)は、さまざまな条件下で相反する細胞挙動を促進し、その結果はネットワークの状態に影響される。たとえば、マウスの腸上皮でマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)キナーゼMEKが阻害されるとTNF-α誘導性アポトーシスのタイミングが変化する。われわれは、MAPKシグナル伝達がTNF-α誘導性アポトーシスに直接的に影響するのか、それともMAPK経路の阻害による二次的なネットワークレベルの作用が細胞応答を変化させるのかを調べた。そして、MAPKキナーゼキナーゼRaf、MEK、または細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)を阻害すると、マウスの腸におけるTNF-α誘導性アポトーシスのタイミングと規模に顕著に影響することを見出した。しかも、MEK阻害薬ごとに影響は異なった。MEK阻害薬の1つ、CH5126766はTNF-α誘導性アポトーシスを増強させ、他の阻害薬は細胞死を減少させた。コンピュータによるモデル化と実験的撹乱によって、CH5126766存在下でTNF-αシグナル伝達を受けてアポトーシスを亢進させる主要なシグナル伝達ノードとしてキナーゼAktを同定した。われわれの研究は、実験的または治療的処置に応答した細胞挙動を特定するには、統合されたネットワークシグナル伝達が重要であることを強調している。さらに広く言えば、この研究は、経路阻害薬によるネットワークレベルの作用を考慮することの重要性を浮き彫りにし、標的が同じでも阻害薬ごとに作用が異なることを示した。

Citation: J. J. Gierut, L. B. Wood, K. S. Lau, Y.-J. Lin, C. Genetti, A. A. Samatar, D. A. Lauffenburger, K. M. Haigis, Network-level effects of kinase inhibitors modulate TNF-α–induced apoptosis in the intestinal epithelium. Sci. Signal. 8, ra129 (2015).

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