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細胞質分裂にはHippo経路エフェクターYAPの非転写的機能が関与している

Cytokinesis involves a nontranscriptional function of the Hippo pathway effector YAP

Research Article

Sci. Signal. 01 Mar 2016:
Vol. 9, Issue 417, pp. ra23
DOI: 10.1126/scisignal.aaa9227

Duyen Amy Bui1, Wendy Lee2, Anne E. White1, J. Wade Harper1, Ron C. J. Schackmann1, Michael Overholtzer3,4, Laura M. Selfors1, and Joan S. Brugge1,*

1 Department of Cell Biology, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
2 The Ronald O. Perelman Department of Dermatology and the Department of Cell Biology, New York University School of Medicine, New York, NY 10016, USA.
3 BCMB (Biochemistry, Cell, and Molecular Biology) Allied Program, Weill Cornell Medical College, 1300 York Avenue, New York, NY 10065, USA.
4 Cell Biology Program, Memorial Sloan Kettering Cancer Center, New York, NY 10065, USA.

* Corresponding author. E-mail: joan_brugge@hms.harvard.edu

要約  YAPは、器官の成長と分化を制御する転写コアクチベーターであり、間期の細胞においてはHippo経路によって阻害される。今回われわれは、有糸分裂時に、YAPが、細胞質分裂に関与する細胞内構造である中央体と紡錘体に局在することを示した。細胞質分裂は、細胞骨格の収縮によって2つの娘細胞が生み出される過程である。さらにYAPは、細胞周期進行を促進するキナーゼであるCDK1によってリン酸化された。shRNAによりYAPをノックダウンする、またはリン酸化不能型のYAPを発現させると、娘細胞の分離(脱離と呼ばれる)が遅延し、収縮力の増強、細胞膜のブレブ形成と膨隆、異常な紡錘体配向を伴う細胞質分裂表現型が誘導された。結果として、これらの欠損により、多核化、小核、異数性の頻度が上昇した。細胞質分裂時の収縮を調節する、ECT2、MgcRacGap、Anillin、RHOAなどのタンパク質が適切に局在するためには、YAPが必要であった。さらに、YAPが枯渇すると、ミオシン軽鎖のリン酸化が増加し、これにより、細胞質分裂に関与する分子モーターであるミオシンIIの収縮活性が増加することが予測された。極性足場タンパク質PATJがYAPと共沈し、細胞質分裂中央体にYAPと共局在した。また、PATJをノックダウンすると、YAPの枯渇またはリン酸化不能なYAP変異体の発現によって誘導される、細胞質分裂の欠損と紡錘体配向の変化が、表現型模写された。これらの結果を総合すると、YAPが、極性タンパク質PATJとの相互作用を介して、有糸分裂時の細胞質分裂装置の適切な組織化に、予想外の役割を果たすことがわかる。

Citation: D. A. Bui, W. Lee, A. E. White, J. W. Harper, R. C. J. Schackmann, M. Overholtzer, L. M. Selfors, J. S. Brugge, Cytokinesis involves a nontranscriptional function of the Hippo pathway effector YAP. Sci. Signal. 9, ra23 (2016).

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