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腫瘍細胞由来スフィンゴシン1-リン酸刺激によってマクロファージから放出されるリポカイン2はリンパ脈管新生及び腫瘍の転移を促進する

Lipocalin 2 from macrophages stimulated by tumor cell–derived sphingosine 1-phosphate promotes lymphangiogenesis and tumor metastasis

Research Article

Sci. Signal. 28 Jun 2016:
Vol. 9, Issue 434, pp. ra64
DOI: 10.1126/scisignal.aaf3241

Michaela Jung1,*, Bilge Ören1,*, Javier Mora1,2, Christina Mertens1, Sarah Dziumbla3, Rüdiger Popp3, Andreas Weigert1, Nina Grossmann1, Ingrid Fleming3, and Bernhard Brüne1,†

1 Institute of Biochemistry I, Goethe-University Frankfurt, Theodor-Stern-Kai 7, 60590 Frankfurt am Main, Germany.
2 Faculty of Microbiology, University of Costa Rica, 2060 San José, Costa Rica.
3 Institute for Vascular Signalling, Goethe-University Frankfurt, Theodor-Stern-Kai 7, 60590 Frankfurt am Main, Germany.

Corresponding author. Email: b.bruene@biochem.uni-frankfurt.de

* These authors contributed equally to this work.

要約  腫瘍細胞由来因子は、マクロファージを、腫瘍誘発性メディエーターの分泌を伴う腫瘍促進表現型に傾ける。アポトーシス誘導された腫瘍細胞は、腫瘍関連マクロファージ中のリポカイン2(LCN2)の産生を促し、腫瘍転移と関連のあるスフィンゴシン1-リン酸(S1P)を放出する。本研究では、S1Pがマクロファージ中でLCN2を誘導する機序を探索し、それが腫瘍増殖及び転移にどのように寄与するかを検討した。初代ヒトマクロファージにおけるS1P受容体1(S1PR1)のノックダウン及びS1PR1欠損マウス骨髄由来マクロファージを用いた実験から、S1PはS1PR1を介してシグナルを送り、LCN2発現を誘発することが示された。LCN2プロモーターにはシグナル伝達性転写活性化因子3(STAT3)のコンセンサス配列が含まれ、そのSTAT3認識配列の欠失により、LCN2制御リポーター遺伝子の発現が低減した。共培養実験における培養上清から、マクロファージからのLCN2放出は初代ヒトリンパ管内皮細胞の培養中でPI3Kキナーゼと、それに続く受容体VEGFR3を刺激する自己分泌シグナルとして機能する増殖因子VEGFCの誘導依存的に脈管形成及び増殖を誘導することが示された。Lcn2のノックアウトにより、乳がんモデルであるMMTV-PyMTマウスと同所性野生型腫瘍を有するマウスの両方で、腫瘍関連リンパ脈管新生及び乳がん転移が減弱した。本研究の知見から、マクロファージがリンパ脈管新生を促進するシグナルを発生して、死滅しかけている腫瘍細胞に反応し、転移を可能にすることが示された。

Citation: M. Jung, B. Ören, J. Mora, C. Mertens, S. Dziumbla, R. Popp, A. Weigert, N. Grossmann, I. Fleming, B. Brüne, Lipocalin 2 from macrophages stimulated by tumor cell–derived sphingosine-1-phosphate promotes lymphangiogenesis and tumor metastasis. Sci. Signal. 9, ra64 (2016).

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