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一部の感覚ニューロン集団における痒みの伝達にはTRPV1によるTRPV4の亢進が必要である

Facilitation of TRPV4 by TRPV1 is required for itch transmission in some sensory neuron populations

Research Article

Sci. Signal. 19 Jul 2016:
Vol. 9, Issue 437, pp. ra71
DOI: 10.1126/scisignal.aaf1047

Seungil Kim1,2,*,†, Devin M. Barry1,2,*, Xian-Yu Liu1,2,*, Shijin Yin1,2, Admire Munanairi1,2, Qing-Tao Meng1,3, Wei Cheng4, Ping Mo1,5, Li Wan1,‡, Shen-Bin Liu1,2, Kasun Ratnayake6, Zhong-Qiu Zhao1,2,Narasimhan Gautam2,7, Jie Zheng8, W. K. Ajith Karunarathne6, and Zhou-Feng Chen1,2,9,10,§

1 Center for the Study of Itch, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63110, USA.
2 Department of Anesthesiology, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63110, USA.
3 Department of Anesthesiology, Renmin Hospital of Wuhan University, Wuhan, Hubei 430060, P.R. China.
4 Institute of Cancer Stem Cell, Dalian Medical University, Dalian 116044, P.R. China.
5 Department of Anesthesiology, Nanhai Hospital of Southern Medical University, Foshan 528000, P.R. China.
6 Department of Chemistry and Biochemistry, University of Toledo, Toledo, OH 43606, USA.
7 Department of Genetics, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63110, USA.
8 Department of Physiology and Membrane Biology, University of California School of Medicine, Davis, CA 95616, USA.
9 Department of Psychiatry, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63110, USA.
10 Department of Developmental Biology, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63110, USA.

§ Corresponding author. Email: chenz@wustl.edu

* These authors contributed equally to this work.

† Present address: Department of Cell and Tissue Biology, Program in Craniofacial Biology, University of California, San Francisco, San Francisco, CA 94143, USA.

‡ Present address: Department of Anesthesiology, The Second Affiliated Hospital, Guangzhou Medical University, Guangzhou 510260, P.R. China.

要約  一過性受容器電位チャネル(TRP)は化学的刺激物質と温度に応答する。TRPV1は痒みを誘導する内在性の伝達物質ヒスタミンに応答し、TRPA1は痒みを誘導する化学物質クロロキンに応答する。われわれは、感覚ニューロンにおいて、TRPV4がクロロキンに誘導される痒みとヒスタミンに誘導される痒みのいずれにも重要であることと、TRPV1がクロロキンに誘導される痒みに関与することを示した。TRPV1をノックダウンまたは薬理学的に阻害したマウスでは、クロロキンに誘発されるひっかき行動が減少した。一部の感覚ニューロンにはTRPV4とTRPV1の両方が存在した。TRPV4とTRPV1のいずれかを薬理学的に阻害すると、ヒスタミンまたはクロロキンに曝露された感覚ニューロンのCa2+ 応答が著しく減弱した。Trpv1をノックアウトすると、Ca2+ 応答が損なわれ、TRPV4アゴニストによって誘発されるひっかき行動が減少したが、Trpv4をノックアウトしても、TRPV1によって媒介されるカプサイシン応答は変化しなかった。TRPV4とTRPV1を共発現するヒト胎児由来腎臓(HEK)293細胞の電気生理学的解析では、両チャネルの存在によってTRPV4の活性化動態は促進されるがTRPV1の活性化動態は促進されないことが明らかになった。生化学的研究と生物物理学的研究からは、後根神経節ニューロンと培養細胞において、TRPV4とTRPV1がきわめて近接していることが示唆された。このように、今回の研究では、TRPV4をヒスタミンに誘導される痒みとクロロキンに誘導される痒みの両方に寄与するチャネルとして同定し、痒みのシグナル伝達におけるTRPV4の機能の一環としてTRPV1に媒介される亢進が関与することを示した。このようなヘテロマーの形成によるTRPの亢進は、広範にわたる体性感覚情報を感覚神経においてコード化する機構として広く普及している可能性がある。

Citation: S. Kim, D. M. Barry, X.-Y. Liu, S. Yin, A. Munanairi, Q.-T. Meng, W. Cheng, P. Mo, L. Wan, S.-B. Liu, K. Ratnayake, Z.-Q. Zhao, N. Gautam, J. Zheng, W. K. A. Karunarathne, Z.-F. Chen, Facilitation of TRPV4 by TRPV1 is required for itch transmission in some sensory neuron populations. Sci. Signal. 9, ra71 (2016).

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