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内皮アダプター分子TSAdは接合部のc-Src活性化を介するVEGF誘発性の血管新生萌出に必要である

The endothelial adaptor molecule TSAd is required for VEGF-induced angiogenic sprouting through junctional c-Src activation

Research Article

Sci. Signal. 19 Jul 2016:
Vol. 9, Issue 437, pp. ra72
DOI: 10.1126/scisignal.aad9256

Emma J. Gordon1,*,†, Daisuke Fukuhara1,*,‡, Simone Weström1, Narendra Padhan1, Elisabet O. Sjöström1, Laurens van Meeteren1, Liqun He1, Fabrizio Orsenigo2, Elisabetta Dejana1,2, Katie Bentley1,3, Anne Spurkland4, and Lena Claesson-Welsh1,†

1 Department of Immunology, Genetics and Pathology, Rudbeck Laboratory, Uppsala University, Dag Hammarskjöldsv 20, Uppsala 75185, Sweden.
2 FIRC Institute of Molecular Oncology Foundation, IFOM, Milan 20139, Italy.
3 Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical School, 330 Brookline Avenue, Boston, MA 02215, USA.
4 Department of Molecular Medicine, Institute of Basic Medical Sciences, University of Oslo, Oslo 0317, Norway.

† Corresponding author. Email: emma.gordon@igp.uu.se (E.J.G.); lena.welsh@igp.uu.se (L.C.-W.)

* These authors contributed equally to this work.

‡ Present address: Department of Pediatrics, Kyorin University School of Medicine, 6-20-2 Shinkawa, Mitaka, Tokyo 181-8611, Japan.

要約

血管内皮増殖因子(VEGF)受容体2(VEGFR2)のVEGF結合による活性化は、血管形態形成にきわめて重要である。さらに、VEGFは、結合分子VE-カドヘリンのリン酸化と代謝回転を引き起こすことによって内皮バリアを破壊し、この過程は、VEGFR2下流エフェクターであるT細胞特異的アダプター(TSAd)とチロシンキナーゼc-Srcによって仲介される。われわれは、血管新生萌出にVEGFR2-TSAd-c-Src経路が必要であるかどうかを検討した。実際に、Tsad欠損胚様体は、VEGFに反応して萌出しなかった。Tsad欠損マウスにおいて、とくに気管の血管発生時に血管新生障害が認められたが、網膜血管発生時には認められず、また、VEGFを充填したマトリゲルプラグでは血管新生障害が認められたが、FGFを充填したマトリゲルプラグでは認められなかった。TSAdのSH2ドメインおよびプロリンリッチドメインが、VEGFR2とc-Srcを架橋させ、この架橋は、活性化c-Srcの内皮細胞接合部位への局在化と発展中の萌出の伸長にきわめて重要であったが、端細胞の選択には重要でなかった。これらの結果から、一部の組織においては、血管の萌出と透過性の両方が、VEGFR2-TSAd-c-Srcシグナル伝達経路を介して制御されていることが明らかになった。この知見は、組織特異的な病的血管新生を制御する戦略の構築に役立つ可能性がある。

Citation: E. J. Gordon, D. Fukuhara, S. Weström, N. Padhan, E. O. Sjöström, L. van Meeteren, L. He, F. Orsenigo, E. Dejana, K. Bentley, A. Spurkland, L. Claesson-Welsh, The endothelial adaptor molecule TSAd is required for VEGF-induced angiogenic sprouting through junctional c-Src activation. Sci. Signal. 9, ra72 (2016).

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