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RhoAは複数の機序を介してマウス幹細胞中の神経分化を阻害する

RhoA inhibits neural differentiation in murine stem cells through multiple mechanisms

Research Article

Sci. Signal. 26 Jul 2016:
Vol. 9, Issue 438, pp. ra76
DOI: 10.1126/scisignal.aad0791

Junning Yang1, Chuanshen Wu2,*, Ioana Stefanescu1, Lars Jakobsson3, Inna Chervoneva4, and Arie Horowitz1,†

1 Cardeza Foundation for Hematologic Research, Department of Medicine, Sidney Kimmel Medical College, Thomas Jefferson University, Philadelphia, PA 19107, USA.
2 Department of Molecular Cardiology, Cleveland Clinic Foundation, Cleveland, OH 44195, USA.
3 Department of Medical Biochemistry and Biophysics, Karolinska Institute, Stockholm 17177, Sweden.
4 Division of Biostatistics, Department of Pharmacology and Experimental Therapeutics, Sidney Kimmel Medical College, Thomas Jefferson University, Philadelphia, PA 19107, USA.

† Corresponding author. Email: arie.horowitz@jefferson.edu

* Present address: Department of Psychiatry, Brookdale University Hospital and Medical Center, One Brookdale Plaza, Brooklyn, NY 11212, USA.

要約  胚性幹細胞の自発的神経分化はNogginが媒介する骨形成タンパク質4(BMP4)シグナル伝達の阻害によって誘導される。RhoAは、幹細胞運命を制御する細胞骨格ダイナミクスおよび遺伝子発現を調節するグアノシントリホスファターゼ(GTPアーゼ)である。本研究では、RhoA特異的グアニンヌクレオチド交換因子をコードする遺伝子であるSyxを破壊すると、胚様体内に凝集するマウス胚性幹細胞において、レチノイン酸によって誘導される神経分化が加速することを明らかにした。Syx+/+胚様体とSyx−/−胚様体の細胞では幹細胞多能性への関与が示唆されるタンパク質の量が異なっていた。分化促進タンパク質であるNogginおよびRARγ(レチノイン酸受容体)はSyx−/−胚様体細胞中の方が多いが、分化抑制タンパク質であるSIRT1(タンパク質脱アセチル化酵素)およびSMAD1のリン酸化体(同転写因子の活性型)はSyx+/+胚様体細胞中の方が多い。このような差は、構造的に活性なRhoAの過剰発現によって消失することから、これらのタンパク質の量は、少なくとも一部は、RhoA活性によって維持されることが示された。Syx−/−胚様体細胞中の末梢張力線維は、Syx+/+細胞中の末梢張力線維より細かった。また、Syx−/−胚様体細胞中には、NogginおよびNogginトラフィッキングを媒介するGTPアーゼであるRab3dを含有する小胞が少なかったが、これはNogginエキソサイトーシスの亢進によると考えられる。これらの結果から、野生型マウス胚性幹細胞中のRhoA活性は、Noggin転写の阻害に加えて、Noggin分泌を制限することにより、神経分化も阻害することが示唆された。

Citation: J. Yang, C. Wu, I. Stefanescu, L. Jakobsson, I. Chervoneva, A. Horowitz, RhoA inhibits neural differentiation in murine stem cells through multiple mechanisms. Sci. Signal. 9, ra76 (2016).

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