そんなに甘くない

How sweet it isn’t

Editor's Choice

Sci. Signal.  26 Jul 2016:
Vol. 9, Issue 438, pp. ec169
DOI: 10.1126/scisignal.aah6249

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

Q.-P. Wang, Y. Q. Lin, L. Zhang, Y. A. Wilson, L. J. Oyston, J. Cotterell, Y. Qi, T. M. Khuong, N. Bakhshi, Y. Planchenault, D. T. Browman, M. T. Lau, T. A. Cole, A. C. N. Wong, S. J. Simpson, A. R. Cole, J. M. Penninger, H. Herzog, G. G. Neely, Sucralose promotes food intake through NPY and a neuronal fasting response. Cell Metab. 24, 75–90 (2016). [PubMed]

要約  スクラロースなどの非栄養甘味料は、モデル生物およびヒトの両方で代謝機能不全と関連している。Wangらは、非栄養甘味料が、食欲を刺激し、甘味感作を引き起こす神経回路を実行させることを示した。標準対照食(ショ糖と酵母)を与えたショウジョウバエと比べて、5日間以上スクラロース加糖食を与えたショウジョウバエは、標準食に切り替えるとより多くの餌を食べ、ショ糖により指向性をもち[ショ糖または甘味感作と呼ばれ、口吻伸長応答(PER)アッセイにより測定される]、耐糖能異常を示した。食物摂取およびショ糖感作に及ぼすスクラロースの作用は可逆的であり、甘味ニューロンの甘味受容体Gr64a、インスリン、およびインスリン受容体InRを必要とした。ハエにおいて報酬経路を仲介する神経伝達物質オクトパミンおよびその受容体Oambは、スクラロース摂食の作用によるインスリンシグナル伝達の下流で働いていた。オクトパミンと同様に、ドーパミンも報酬経路で機能し、スクラロース摂食の作用による、インスリンおよびオクトパミンシグナル伝達に必要な下流因子であった。二つのドーパミン受容体、DopEcRおよびDopR2が必要とされ、後者は、哺乳動物における神経ペプチドYのハエオルソログである、食欲を刺激する神経伝達物質神経ペプチドFを産生するニューロン上に存在した。甘味応答ニューロンにおいてNPFR(ニューロペプチドFの受容体をコードする)のノックダウンは、スクラロース摂食による食欲およびショ糖感作促進能を消失させた。ソルビトールは無味糖カロリー源であり、ソルビトール添加が、スクラロース添加食による食欲亢進を妨げたことから、知覚と実際のカロリー摂取量との間の不一致が食欲刺激の原因であることが示唆された。ドーパミン作動性ニューロンおよびNPF産生ニューロンのエネルギーセンサーAMPKは、スクラロース加糖食によって活性化され、食欲およびショ糖感作に及ぼす作用に必要であった。野生型ハエの絶食は、ショ糖感作を誘起し、神経応答は、スクラロース摂食により引き起こされた神経応答(DopEcRを必要とする応答)と同様であった。マウスも、スクラロース摂食後により多くの餌を食べ、NPYノックアウトマウスではその作用は見られなかったことから、スクラロースの作用は進化的に保存されていた。このように、低カロリー食品中の非栄養甘味料は、逆説的に食欲を刺激し、甘い食べ物をより魅力的にしうる。

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2016年7月26日号

Editor's Choice

そんなに甘くない

Research Article

相乗的に作用するGタンパク質共役受容体作動薬および拮抗薬が視細胞変性を防止する

CD28の細胞質ドメインが細胞膜に結合するとLckの動員およびシグナル伝達が阻害される

RhoAは複数の機序を介してマウス幹細胞中の神経分化を阻害する

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