• ホーム
  • CD28の細胞質ドメインが細胞膜に結合するとLckの動員およびシグナル伝達が阻害される

CD28の細胞質ドメインが細胞膜に結合するとLckの動員およびシグナル伝達が阻害される

Binding of the cytoplasmic domain of CD28 to the plasma membrane inhibits Lck recruitment and signaling

Research Article

Sci. Signal. 26 Jul 2016:
Vol. 9, Issue 438, pp. ra75
DOI: 10.1126/scisignal.aad0626

Jessica Dobbins1,2, Etienne Gagnon1,*, Jernej Godec2,3, Jason Pyrdol1, Dario A. A. Vignali4,5, Arlene H. Sharpe2,3, and Kai W. Wucherpfennig1,2,3,†

1 Department of Cancer Immunology and Virology, Dana-Farber Cancer Institute, Boston, MA 02115, USA.
2 Program in Immunology, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
3 Department of Microbiology and Immunobiology, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
4 Department of Immunology, University of Pittsburgh School of Medicine, Pittsburgh, PA 15261, USA.
5 Tumor Microenvironment Center, University of Pittsburgh Cancer Institute, Pittsburgh, PA 15232, USA.

† Corresponding author. Email: kai_wucherpfennig@dfci.harvard.edu

* Present address: Département de Microbiologie, Infectiologie et Immunologie, Institut de Recherche en Immunologie et Cancérologie, Montréal, Québec H3T 1J4, Canada.

要約

T細胞補助刺激受容体CD28は、ナイーブT細胞の完全活性化にも、Foxp3陽性制御性T細胞(Treg)細胞の発達・維持にも必要である。われわれは、休止細胞ではCD28の細胞質ドメインが細胞膜に結合していること、そしてCD28にリガンドが結合するとCD28が細胞膜から遊離することを示した。CD28の細胞質ドメインが細胞膜に結合するには、負に帯電した細胞膜の内葉と相互作用する2つの塩基性アミノ酸残基クラスターが必要であった。この2つの塩基性残基クラスターは、CD28の機能に不可欠なSrcファミリーキナーゼLckの相互作用部位としての役割も果たしていた。このシグナル伝達複合体は、Lckの媒介によってCD28のTyr207がリン酸化され、その後、このリン酸化されたチロシンにLckのSrcホモロジー2(SH2)ドメインが結合することによって、さらに安定化した。CD28の細胞質ドメインにあるこの塩基性クラスターを変異させると、CD28シグナル伝達経路の重要なエフェクターキナーゼであるタンパク質キナーゼCθ(PKCθ)のCD28-Lck複合体への動員が減少した。そのため、塩基性クラスターの一つあるいはTyr207を変異させるとマウスのCD28の機能は低下し、これはFoxP3陽性Treg細胞の胸腺分化の減少によって示された。これらの結果に基づき、われわれは、CD28シグナル伝達の開始モデルとしてこれまでに記述されていないモデルを提唱する。

Citation: J. Dobbins, E. Gagnon, J. Godec, J. Pyrdol, D. A. A. Vignali, A. H. Sharpe,K. W. Wucherpfennig, Binding of the cytoplasmic domain of CD28 to the plasma membrane inhibits Lck recruitment and signaling. Sci. Signal. 9, ra75 (2016).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2016年7月26日号

Editor's Choice

そんなに甘くない

Research Article

相乗的に作用するGタンパク質共役受容体作動薬および拮抗薬が視細胞変性を防止する

CD28の細胞質ドメインが細胞膜に結合するとLckの動員およびシグナル伝達が阻害される

RhoAは複数の機序を介してマウス幹細胞中の神経分化を阻害する

最新のResearch Article記事

2024年2月27日号

ALOX5はCD4+ T細胞のパイロトーシスと関節リウマチにおける組織炎症を駆動する

2024年2月20日号

デザイナー高密度リポタンパク質粒子が内皮バリア機能を強化し炎症を抑制する

T細胞におけるgp130シグナル伝達の活性化がTH17介在性の多臓器自己免疫を引き起こす

2024年2月13日号

GPCRキナーゼはその細胞内局在に応じて偏向性のCXCR3下流シグナル伝達を差次的に調節する

リラキシン-3受容体のGαi/oバイアスステープルペプチドアゴニストによるバイアスアゴニズムの機構