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GAS6-AXLシグナル伝達ネットワークは卵巣がんの間葉系(Mes)分子サブタイプ特異的な治療標的である

The GAS6-AXL signaling network is a mesenchymal (Mes) molecular subtype–specific therapeutic target for ovarian cancer

Research Article

Sci. Signal. 04 Oct 2016:
Vol. 9, Issue 448, pp. ra97
DOI: 10.1126/scisignal.aaf8175

Jane Antony1,2,3, Tuan Zea Tan1, Zoe Kelly3, Jeffrey Low4, Mahesh Choolani4, Chiara Recchi3, Hani Gabra3, Jean Paul Thiery1,5,6, and Ruby Yun-Ju Huang1,4,7,*

1 Cancer Science Institute of Singapore, National University of Singapore, Singapore 117599, Singapore.
2 NUS Graduate School for Integrative Sciences and Engineering, National University of Singapore, Singapore 117456, Singapore.
3 Department of Surgery and Cancer, Imperial College London, London W120NN, U.K.
4 Department of Obstetrics and Gynecology, National University Health System, Singapore 119228, Singapore.
5 Department of Biochemistry, Yong Loo Lin School of Medicine, National University of Singapore, Singapore 117596, Singapore.
6 Institute of Molecular and Cell Biology, A*STAR (Agency for Science, Technology and Research), Singapore 138673, Singapore.
7 Department of Anatomy, Yong Loo Lin School of Medicine, National University of Singapore, Singapore 117597, Singapore.

* Corresponding author. Email: ruby_yj_huang@nuhs.edu.sg

要約  卵巣がんは、患者間で遺伝子発現の分子サブタイプ(GEMS)に不均一性がみられる複雑な疾患である。間葉系(「Mes」)サブタイプの腫瘍を有する患者は、上皮(「Epi」)サブタイプの腫瘍を有する患者と比べて予後が不良である。われわれは、卵巣がん患者のGEMSの分子シグナル伝達プロファイルを調べ、これらのプロファイルの差異をどのように活用すれば患者の臨床転帰を改善することができるかを検討した。キノーム濃縮解析により、Mesサブタイプの腫瘍組織および細胞株にとくに豊富に存在するキナーゼとして、AXLが同定された。Mes細胞において、AXLは、リガンドGAS6により活性化されると、受容体チロシンキナーゼ(RTK)であるcMET、EGFR、HER2とともにクラスターを形成し、これらをトランス活性化させ、持続的な細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)活性化をもたらした。Epi-A細胞では、AXLはあまり豊富に存在せず、ERKの一時的活性化を誘導したが、RTKトランス活性化の証拠は認められなかった。AXL-RTKクロストークは、転写因子FRA1の持続的活性化も刺激し、この活性化は、Mesサブタイプの細胞のみにおいて、上皮間葉転換(EMT)に関連する転写因子SLUGの誘導および運動の刺激と相関していた。AXL阻害剤R428は、培養下のMes細胞ではRTKおよびERK活性化を減弱させるとともに、細胞運動を低下させ、ニワトリ絨毛尿膜モデルでは、腫瘍増殖を抑制した。Epi-A細胞において、ERK活性化と細胞運動を抑制するためには、より高濃度のR428が必要であった。Mesサブタイプの細胞においてAXLをサイレンシングすると、培養では間葉系表現型が打ち消され、同所性異種移植マウスモデルでは腫瘍形成が消失した。したがって、AXLを標的とする治療により、Mesサブタイプの卵巣がん患者の臨床転帰が改善される可能性がある。

Citation: J. Antony, T. Z. Tan, Z. Kelly, J. Low, M. Choolani, C. Recchi, H. Gabra, J. P. Thiery, R. Y.-J. Huang, The GAS6-AXL signaling network is a mesenchymal (Mes) molecular subtype–specific therapeutic target for ovarian cancer. Sci. Signal. 9, ra97 (2016).

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