• ホーム
  • 日本脳炎ウイルスにより誘発される神経炎症におけるJNK1の重要な役割を定量的リン酸化プロテオミクス解析により特定

日本脳炎ウイルスにより誘発される神経炎症におけるJNK1の重要な役割を定量的リン酸化プロテオミクス解析により特定

Quantitative phosphoproteomic analysis identifies the critical role of JNK1 in neuroinflammation induced by Japanese encephalitis virus

Research Article

Sci. Signal. 04 Oct 2016:
Vol. 9, Issue 448, pp. ra98
DOI: 10.1126/scisignal.aaf5132

Jing Ye1,2,3,4, Hao Zhang1,2,4, Wen He1,2,4, Bibo Zhu1,2,4, Dengyuan Zhou1,2,4, Zheng Chen1,2,4, Usama Ashraf1,2,4, Yanming Wei1,2,4, Ziduo Liu1,3, Zhen F. Fu1,2,5, Huanchun Chen1,2,4, and Shengbo Cao1,2,4,*

1 State Key Laboratory of Agricultural Microbiology, Huazhong Agricultural University, Wuhan, Hubei 430070, PR China.
2 Laboratory of Animal Virology, College of Veterinary Medicine, Huazhong Agricultural University, Wuhan, Hubei 430070, PR China.
3 College of Life Science and Technology, Huazhong Agricultural University, Wuhan, Hubei 430070, PR China.
4 The Cooperative Innovation Center for Sustainable Pig Production, Huazhong Agricultural University, Wuhan, Hubei 430070, PR China.
5 Department of Pathology, University of Georgia, Athens, GA 30602, USA.

* Corresponding author. Email: sbcao@mail.hzau.edu.cn

要約

日本脳炎ウイルス(JEV)は世界的に蔓延している脳炎の主因である。JEVの発症機序は中枢神経系(CNS)の堅固な炎症反応と関連している。グリア細胞はCNSに常在する免疫細胞で、CNSの炎症の重要なエフェクターである。JEV感染中のグリア細胞におけるシグナル伝達イベントの全体的な概要を得るため、われわれはJEV感染グリア細胞株のホスホプロテオミクスプロファイリングを行った。JEV感染によってリン酸化状態に変化を示す、1264のタンパク質に相当する1816のリン酸化ペプチドを同定した。バイオインフォマティックス解析から、これらのタンパク質は主に転写制御、シグナル伝達、細胞周期および細胞骨格に関連していることが明らかにされた。キナーゼ基質のモチーフから、AKT1およびプロテインキナーゼA(PKA)シグナル伝達の亢進のエビデンスとともに、c-Jun N-末端キナーゼ1(JNK1)の基質は大半が過剰に存在していることが明らかにされた。JEVに感染した培養グリア細胞では、JNK1またはその標的であるJUNをノックダウンした場合と同様、JNK、AKTまたはPKAの薬理学的阻害によって炎症反応が低下した。培養グリア細胞において、JEVのゲノムRNAはJNK1シグナル伝達を活性化するのに十分であった。臨床的意義が考えられるものとして、われわれは、JNKシグナル伝達の阻害により、JEV感染マウスにおける脳内の炎症性サイトカイン産生が有意に低減し、死亡率が低下することを明らかにした。この結果、JNKシグナル伝達は日本脳炎の管理のための治療標的候補であることが示唆された。

Citation: J. Ye, H. Zhang, W. He, B. Zhu, D. Zhou, Z. Chen, U. Ashraf, Y. Wei, Z. Liu, Z. F. Fu, H. Chen, S. Cao, Quantitative phosphoproteomic analysis identifies the critical role of JNK1 in neuroinflammation induced by Japanese encephalitis virus. Sci. Signal. 9, ra98 (2016).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2016年10月4日号

Editors' Choice

遊走性好中球をROSで停止させる

Research Article

GAS6-AXLシグナル伝達ネットワークは卵巣がんの間葉系(Mes)分子サブタイプ特異的な治療標的である

日本脳炎ウイルスにより誘発される神経炎症におけるJNK1の重要な役割を定量的リン酸化プロテオミクス解析により特定

細胞質ホスファターゼPTPN22の超解像イメージングは自己免疫とのインテグリンを介したT細胞の接着を結びつける

最新のResearch Article記事

2025年06月17日号

アンフィレギュリンは感覚ニューロンにおいてヒストンのラクチル化を刺激する解糖系を亢進させることによって神経障害性疼痛に関与する

2025年06月17日号

細胞内および核内CXCR4シグナル伝達は赤芽球の終末分化および除核を促進する

2025年06月03日号

受容体グアニリルシクラーゼNpr2の侵害受容器特異的シグナル伝達が急性および持続性の疼痛に関与する

2025年06月03日号

E3リガーゼTRIM21は、TAp63αの発現を低下させIL20RBの抑制解除により膵管腺がんの進展を促進している

2025年05月27日号

多発性硬化症マウスモデルにおいてSMAD2のS-パルミトイル化が自身のリンカー領域のリン酸化とTH17細胞の分化を促進する