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インスリンの時間パターンおよび用量による上方および下方制御遺伝子発現の選択的なコントロール

Selective control of up-regulated and down-regulated genes by temporal patterns and doses of insulin

Research Article

Sci. Signal. 22 Nov 2016:
Vol. 9, Issue 455, pp. ra112
DOI: 10.1126/scisignal.aaf3739

Takanori Sano1,*, Kentaro Kawata2,*, Satoshi Ohno2,*, Katsuyuki Yugi2,3, Hiroaki Kakuda1, Hiroyuki Kubota4,5, Shinsuke Uda4, Masashi Fujii2, Katsuyuki Kunida2, Daisuke Hoshino2, Atsushi Hatano2, Yuki Ito1, Miharu Sato2, Yutaka Suzuki1, and Shinya Kuroda1,2,6,†

1 Department of Computational Biology and Medical Sciences, Graduate School of Frontier Sciences, University of Tokyo, 5-1-5 Kashiwanoha, Kashiwa, Chiba 277-8562, Japan.
2 Department of Biological Sciences, Graduate School of Science, University of Tokyo, 7-3-1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113-0033, Japan.
3 Precursory Research for Embryonic Science and Technology (PRESTO), Japan Science and Technology Agency, Bunkyo-ku, Tokyo 113-0033, Japan.
4 Division of Integrated Omics, Research Center for Transomics Medicine, Medical Institute of Bioregulation, Kyushu University, 3-1-1 Maidashi, Higashi-ku, Fukuoka 812-8582, Japan.
5 PRESTO, Japan Science and Technology Agency, Higashi-ku, Fukuoka 812-8582, Japan.
6 Core Research for Evolutional Science and Technology (CREST), Japan Science and Technology Agency, Bunkyo-ku, Tokyo 113-0033, Japan.

Corresponding author. Email: skuroda@bs.s.u-tokyo.ac.jp

* These authors contributed equally to this work.

要約  インスリン分泌は食後に一過性に増加し、それによって血中濃度が上昇する。絶食はインスリン分泌を制限し、血中インスリン濃度は低下する。われわれは肝がん由来のFAO細胞を用いてインスリンの様々な時間パターンおよび用量に対する転写応答を解析し、上方制御される13種類のインスリン応答性遺伝子(IRG)と、下方制御される16種類のIRGを特定した。インスリン濃度の一過性で段階的、もしくはパルス状の増加に対して、上方制御されるIRGは下方制御されるIRGよりも速やかに応答するが、上方制御されるIRGが刺激されるために必要な濃度よりも低濃度で、下方制御されるIRGが抑制された。インスリン応答の数理モデルを、(i)インスリンシグナル伝達から転写、および(ii)転写とmRNAの安定性という2段階で作成した結果、第一段階は下方制御されるIRGの方が早く応答する段階である一方、第二段階の転写は上方制御されるIRGの方が早く応答する段階であることが示された。FAO細胞で上方または下方制御されていたサブセットのIRGは、インスリンを単回注射したラットの肝臓でも同様に制御されていた。このように、細胞はインスリンに応答できるのみならず、シグナルの強度とパターンを解釈して、異なる転写応答を生じることもできる。これらの結果は、異常なインスリン産生または組織の応答性を伴う肥満および2型糖尿病の治療に有用かもしれない洞察を与えるものである。

Citation: T. Sano, K. Kawata, S. Ohno, K. Yugi, H. Kakuda, H. Kubota, S. Uda, M. Fujii, K. Kunida, D. Hoshino, A. Hatano, Y. Ito, M. Sato, Y. Suzuki, S. Kuroda, Selective control of up-regulated and down-regulated genes by temporal patterns and doses of insulin. Sci. Signal. 9, ra112 (2016).

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