- ホーム
- TFEBは内皮細胞の炎症を阻害してアテローム性動脈硬化症を抑制する
TFEBは内皮細胞の炎症を阻害してアテローム性動脈硬化症を抑制する
TFEB inhibits endothelial cell inflammation and reduces atherosclerosis
Sci. Signal. 31 Jan 2017:
Vol. 10, Issue 464,
DOI: 10.1126/scisignal.aah4214
Haocheng Lu*, Yanbo Fan*,†, Congzhen Qiao, Wenying Liang, Wenting Hu, Tianqing Zhu, Jifeng Zhang, and Y. Eugene Chen†
Cardiovascular Center, Department of Internal Medicine, University of Michigan Medical Center, Ann Arbor, MI 48109, USA.
† Corresponding author. Email: echenum@umich.edu (Y.E.C.); yanbo@med.umich.edu (Y.F.)
* These authors contributed equally to this work.
要約
転写因子EB(TFEB)は、オートファジーとリソソーム生合成のマスター制御因子である。われわれは、血管の生物学および病態生理学におけるTFEBの機能を調べ、内皮細胞のTFEBが炎症を阻害し、アテローム性動脈硬化症の発症を抑えることを示した。アテローム性動脈硬化症を防ぐ層流剪断応力により、培養初代ヒト内皮細胞におけるTFEBの存在量が増加した。さらに、これらの細胞ではTFEB過剰発現により抗炎症作用が認められた一方、TFEBノックダウンにより炎症が悪化した。内皮細胞におけるTFEB過剰発現により、活性酸素種の濃度が低下し、抗酸化遺伝子 HO1 (ヘムオキシゲナーゼ1をコードする)およびSOD2 (スーパーオキシドジスムターゼ2をコードする)の発現が増加したことから、TFEBの抗炎症作用は、少なくとも部分的に、酸化ストレスの減少に起因した。さらに、TFEBを内皮細胞特異的に発現するトランスジェニックマウスでは、内皮細胞への白血球動員の減少と、アテローム性動脈硬化症発症の減少が認められた。われわれの研究から、TFEBは内皮細胞の炎症に対して保護的な転写因子であり、アテローム性動脈硬化症や関連する心血管疾患の治療の標的候補となることが示唆される。
Citation: H. Lu, Y. Fan, C. Qiao, W. Liang, W. Hu, T. Zhu, J. Zhang, Y. E. Chen, TFEB inhibits endothelial cell inflammation and reduces atherosclerosis. Sci. Signal. 10, eaah4214 (2017).