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哺乳類感覚ニューロンのリガンド開口型Ca2+チャネルと電位開口型Ca2+チャネルが小胞の神経ペプチド放出モードを差動的に調節する

Ligand- and voltage-gated Ca2+ channels differentially regulate the mode of vesicular neuropeptide release in mammalian sensory neurons

Research Article

Sci. Signal. 20 Jun 2017:
Vol. 10, Issue 484, eaal1683
DOI: 10.1126/scisignal.aal1683

Yeshi Wang*, Qihui Wu*, Meiqin Hu, Bin Liu, Zuying Chai, Rong Huang, Yuan Wang, Huadong Xu, Li Zhou, Lianghong Zheng, Changhe Wang, and Zhuan Zhou

Department of Systems Biology, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.

State Key Laboratory of Membrane Biology and Beijing Key Laboratory of Cardiometabolic Molecular Medicine, Institute of Molecular Medicine and Peking-Tsinghua Center for Life Sciences, and PKU-IDG/McGovern Institute for Brain Research, Peking University, Beijing 100871, China.

† Corresponding author. Email: changhewang@xjtu.edu.cn (C.W.); zzhou@pku.edu.cn (Z.Z.)

* These authors contributed equally to this work.

要約
後根神経節(DRG)ニューロンから放出される神経ペプチドは、根底にある侵害受容や病理学的疼痛など、感覚入力の神経伝達において重要な役割を果たす。神経ペプチドは、2つのモードで細胞内の小胞から放出される。1つは「キス・アンド・ラン」(kiss-and-run:KAR)と呼ばれる部分放出モード、もう1つは「完全に膜融合したような」(full fusion-like:FFL)と称される完全放出モードである。われわれは、全反射照明蛍光(TIRF)顕微鏡を用いて、電位開口型Ca2+チャネル(VGCC)またはリガンド開口型一過性受容体電位バニロイド1(TRPV1)チャネルのいずれかを通じたCa2+流入後に単一DRGニューロンの細胞体と軸索にある個々の有芯小胞からpH感受性緑色蛍光タンパク質で標識された神経ペプチドY(pHluorin-NPY)が放出される様子を追跡した。そして、VGCCを通じたCa2+流入によってFFLが刺激され、1回の放出でより大量の神経ペプチドが放出されることを見出した。対照的に、TRPV1チャネルを通じたCa2+流入ではKARが刺激され、Dynamin 1による部分的な媒介によって融合孔の開口が制限された状態で緩慢なパルス状の神経ペプチド放出が引き起こされた。Ca2+勾配をTRPV1の活性化後にみられる勾配と同程度まで抑えると、VGCCによるFFLの選好性は消失する。この知見から、VGCCはより急なCa2+勾配を生成することによって、より堅牢な融合孔の開口を促進し、FFLを亢進することが示唆される。このように、DRGニューロンのKAR放出モードとFFL放出モードは、主要な2種類のCa2+透過性チャネルによって差動的に調節される。

Citation: Y. Wang, Q. Wu, M. Hu, B. Liu, Z. Chai, R. Huang, Y. Wang, H. Xu, L. Zhou, L. Zheng, C. Wang, Z. Zhou, Ligand- and voltage-gated Ca2+ channels differentially regulate the mode of vesicular neuropeptide release in mammalian sensory neurons. Sci. Signal. 10, eaal1683 (2017).

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