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脂肪組織のナトリウム利尿ペプチドシグナル伝達を増強させると食餌誘発性肥満およびインスリン抵抗性を予防するが、筋肉ではそのような効果はみられない

Enhancing natriuretic peptide signaling in adipose tissue, but not in muscle, protects against diet-induced obesity and insulin resistance

Research Article

Sci. Signal. 25 Jul 2017:
Vol. 10, Issue 489, eaam6870
DOI: 10.1126/scisignal.aam6870

Wei Wu1,2,*, Fubiao Shi1,*, Dianxin Liu1, Ryan P. Ceddia1, Robert Gaffin3, Wan Wei1, Huafeng Fang1, E. Douglas Lewandowski3, and Sheila Collins1,†

1 Integrative Metabolism Program, Sanford Burnham Prebys Medical Discovery Institute at Lake Nona, Orlando, FL 32827, USA.
2 Division of Endocrinology and Metabolism, Huashan Hospital, Fudan University, Shanghai 200040, China.
3 Cardiovascular Metabolism Program, Sanford Burnham Prebys Medical Discovery Institute at Lake Nona, Orlando, FL 32827, USA.

† Corresponding author. Email: scollins@sbpdiscovery.org

* These authors contributed equally to this work.

要約
心臓ナトリウム利尿ペプチド(NP)は、血圧をコントロールするだけでなく、脂肪細胞における脂肪分解を刺激し、白色脂肪組織の「褐色化」を促進する能力をもつ。NPは、骨格筋の酸化能力を増加させる可能性もある。in vivoで、脂肪組織におけるNP刺激性代謝の寄与を筋肉における同代謝との比較により明らかにするために、われわれは、NPクリアランス受容体NPRCを脂肪組織(NprcAKO)または骨格筋(NprcMKO)で組織特異的に欠失させたマウスを作製した。Nprc 欠損マウスと同様に、NprcAKOマウスは、高脂肪餌によって誘発される肥満に対して抵抗性を示すが、 NprcMKO マウスにはそのような抵抗性は認められないことが示された。 NprcAKO マウスでは、エネルギー消費量の増加、インスリン感受性の改善、褐色脂肪へのグルコース取り込みの増加が認められた。これらのマウスは、食餌誘発性脂肪肝や内臓脂肪の炎症からも保護された。以上の結果から、脂肪組織のNPRCはエネルギー代謝の決定的な調節因子であるという結論が支持され、この受容体を阻害することが、代謝性疾患治療法開発のために検討すべき重要な手段である可能性が示唆される。

Citation: W. Wu, F. Shi, D. Liu, R. P. Ceddia, R. Gaffin, W. Wei, H. Fang, E. D. Lewandowski, S. Collins, Enhancing natriuretic peptide signaling in adipose tissue, but not in muscle, protects against diet-induced obesity and insulin resistance. Sci. Signal. 10, eaam6870 (2017).

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