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IL-7によりプログラムされるTH9細胞の分化および抗腫瘍活性の調節にFoxo1およびFoxp1は相反する役割を果たす

Foxo1 and Foxp1 play opposing roles in regulating the differentiation and antitumor activity of TH9 cells programmed by IL-7

Research Article

Sci. Signal. 10 Oct 2017:
Vol. 10, Issue 500, eaak9741
DOI: 10.1126/scisignal.aak9741

Enguang Bi1,*, Xingzhe Ma1,*, Yong Lu1,*, Maojie Yang1, Qiang Wang1, Gang Xue1, Jianfei Qian1, Siqing Wang2, and Qing Yi1,†

1 Department of Cancer Biology, Lerner Research Institute, Cleveland Clinic, Cleveland, OH 44195, USA.
2 Department of Cancer Immunology, Institute of Translational Medicine, The First Hospital of Jilin University, Changchun 130061, China.

† Corresponding author. Email: yiq@ccf.org

* These authors contributed equally to this work.

要約
サイトカインであるインターロイキン-9(IL-9)を産生することから腫瘍特異的CD4+ Tヘルパー9(TH9)細胞と呼ばれる細胞は、がん免疫療法のための強力なエフェクターT細胞のサブセットである。われわれは、ナイーブCD4+T細胞のIL-7による前処理が、そのTH9細胞への分化をさらに促進し、その抗腫瘍活性を増強することを見出した。IL-7は、STAT5およびPI3K-AKT-mTORシグナル伝達経路を活性化し、さらにIl9プロモーターでのヒストンのアセチル化を促進することで、ヒストンアセチル化酵素p300の存在量を顕著に増加させた。これらより、転写調節因子Foxo1が脱リン酸化され、核移行し、Il9プロモーターに結合してIL-9タンパク質の産生を誘導した。一方、ナイーブCD4+ T細胞のIl9プロモーターに結合してIl9発現を阻害したFoxp1は、Foxo1によりIl9プロモーターへの結合に対して競合し、細胞質に移行した。さらに、CD4+ T細胞におけるFoxo1の強制発現またはFoxp1の欠損は、IL-9の産生を顕著に増加させ、一方でFoxo1の欠損は、IL-7がTH9細胞の分化および抗腫瘍活性を増強する能力を阻害した。このようにわれわれは、TH9細胞の分化および抗腫瘍活性における、正の調節因子としてのFoxo1の役割と、負の調節因子としてのFoxp1の役割を特定した。これらはがん免疫療法にとって標的候補になると考えられる。

Citation: E. Bi, X. Ma, Y. Lu, M. Yang, Q. Wang, G. Xue, J. Qian, S. Wang, Q. Yi, Foxo1 and Foxp1 play opposing roles in regulating the differentiation and antitumor activity of TH9 cells programmed by IL-7. Sci. Signal. 10, eaak9741 (2017).

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