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ATPはパネキシン1チャネルとP2X7受容体の活性を介して樹状細胞の速やかな遊走を促進する

ATP promotes the fast migration of dendritic cells through the activity of pannexin 1 channels and P2X7 receptors

Research Article

Sci. Signal. 21 Nov 2017:
Vol. 10, Issue 506, eaah7107
DOI: 10.1126/scisignal.aah7107

Pablo J. Sáez1,2,*, Pablo Vargas2,3, Kenji F. Shoji1, Paloma A. Harcha1,4, Ana-María Lennon-Duménil2,*, and Juan C. Sáez1,4,*

1 Departamento de Fisiología, Facultad de Ciencias Biológicas, Pontificia Universidad Católica de Chile, Santiago 6513677, Chile.
2 INSERM U932 Immunité et Cancer, Institut Curie, Paris Sciences et Lettres (PSL) Research University, 12 Rue Lhomond, Paris 75005, France.
3 CNRS UMR144, Institut Curie, PSL Research University, 12 Rue Lhomond, Paris 75005, France.
4 Instituto Milenio, Centro Interdisciplinario de Neurociencias de Valparaíso, Valparaíso 2360103, Chile.

* Corresponding author. Email: pablo.saez@curie.fr (P.J.S.); ana-maria.lennon@curie.fr (A.-M.L.-D.); jsaez@bio.puc.cl (J.C.S.)

要約
感染、形質転換、炎症、壊死などの損傷を受けた細胞から放出された細胞外のアデノシン5'-三リン酸(ATP)は、好中球、マクロファージ、樹状細胞(DC)などの貪食細胞を損傷部位に動員する危険シグナルとして機能する。細胞外ATPのセンシングは、プリン作動性(P2)受容体を介して起こる。われわれは、プリン作動性シグナル伝達をDCの遊走性と関連付ける細胞機構について調べた。そして、ATPが、自己分泌シグナル伝達ループ、すなわちP2X7受容体の活性化によって開始され、パネキシン1(Panx1)チャネルによってさらに増幅されるループを介して、速いDCの遊走性を刺激することを見出した。つまり、ATPによってP2X7受容体が刺激されると、Panx1は細胞膜の透過性を増大させ、それがATPの補充的な放出につながり、速やかなDC遊走性に寄与したのである。Panx1の非存在下では、DCは正常なP2X7受容体に媒介されるCa2+応答を示すにもかかわらず、ATPに応答して遊走速度を高めることはできなかった。Panx1チャネルおよびP2X7受容体に依存したシグナル伝達は、DC遊走のためだけでなく、アクチン細胞骨格の再構築を刺激するためにも必要であった。in vivoでは、機能性Panx1チャネルはDCのリンパ節へのホーミングには必要であったが、DC遊走には不要であった。これらのデータは、P2X7受容体とPanx1チャネルがDC遊走の調節において内因性危険シグナルに不可欠な役割を果たすことを示している。

Citation: P. J. Sáez, P. Vargas, K. F. Shoji, P. A. Harcha, A.-M. Lennon-Duménil, J. C. Sáez, ATP promotes the fast migration of dendritic cells through the activity of pannexin 1 channels and P2X7 receptors. Sci. Signal. 10, eaah7107 (2017).

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