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T細胞受容体のITAMの多重性を調整することによって、効力と選択性をリガンド密度に合わせて制御することができる

Tuning ITAM multiplicity on T cell receptors can control potency and selectivity to ligand density

Research Article

Sci. Signal. 22 May 2018:
Vol. 11, Issue 531, eaan1088
DOI: 10.1126/scisignal.aan1088

John R. James

Molecular Immunity Unit, Department of Medicine, University of Cambridge, Medical Research Council Laboratory of Molecular Biology, Cambridge CB2 OQH, UK. Email: jj400@cam.ac.uk

要約

T細胞抗原受容体(TCR)は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)に結合した病原性タンパク質由来のペプチドを認識する。この結合事象を下流のシグナル伝達に変換するために、TCR複合体には、細胞質チロシンキナーゼZAP-70のドッキング部位として働く免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)が含まれている。抗原受容体の中では珍しく、TCR複合体は10個のITAMを用いてペプチド‐MHC結合を細胞内部に伝達する。薬剤誘導性の受容体とリガンドの合成ペアを用いた実験において、ITAMの多重性が大きくなると、主として、リガンド結合が細胞内シグナルに変換される際の効率が高まることが見出された。これは、抗原に応答して活性化される細胞の割合の増加と、TCR近位シグナル伝達のより同期的な開始として現れ、細胞内シグナルの直接的な増幅はみられなかった。これらの結果を利用して、コードされるITAMの数を調節すると、がんを標的とするキメラ抗原受容体の効力と選択性が大幅に高まった。

Citation: J. R. James, Tuning ITAM multiplicity on T cell receptors can control potency and selectivity to ligand density. Sci. Signal. 11, eaan1088 (2018).

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