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感覚ニューロンのMrgC11とµ-オピオイド受容体のオリゴマー形成がモルヒネ鎮痛を増強する

Oligomerization of MrgC11 and µ-opioid receptors in sensory neurons enhances morphine analgesia

Research Article

Sci. Signal. 19 Jun 2018:
Vol. 11, Issue 535, eaao3134
DOI: 10.1126/scisignal.aao3134

Shao-Qiu He1, Qian Xu2,3, Vinod Tiwari1, Fei Yang1, Michael Anderson1, Zhiyong Chen1, Shaness A. Grenald1, Srinivasa N. Raja1, Xinzhong Dong2,3,*, and Yun Guan1,*

1 Department of Anesthesiology and Critical Care Medicine, Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, MD 21205, USA.
2 Solomon H. Snyder Department of Neuroscience, Center for Sensory Biology, Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, MD 21205, USA.
3 Howard Hughes Medical Institute, Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, MD 21205, USA.

* Corresponding author. Email: yguan1@jhmi.edu (Y.G.); xdong2@jhmi.edu (X.D.)

要約

µ-オピオイド受容体(MOR) アゴニストであるモルヒネは疼痛管理に広く使用されているが、重度の有害作用を示し、鎮痛耐性を生じさせる。そのため、MOR活性を刺激する代替法が必要である。われわれは、感覚ニューロン特異的Gタンパク質共役受容体であるMrgC11が、MORとヘテロマー複合体を形成する可能性を見出した。ペプチドを介したMrgC11の活性化が、共エンドサイトーシスを誘導し、膜の再挿入のためのMORを選別することにより、MORの再利用を増強した。さらにMrgC11の活性化は、MORとβ-アレスチン-2の共役も阻害し、モルヒネ依存性のcAMP生成阻害を増強した。野生型マウスにおける低用量MrgCアゴニストの髄腔内への同時投与は、急性のモルヒネ鎮痛を増強し、慢性のモルヒネ耐性を抑制したが、Mrg-クラスターノックアウト(Mrg KO)マウスではそのような作用はみられなかった。MrgCとオピオイド受容体の二価アゴニストであるBAM22は、MrgC11とMORの相互作用を増強し、個々の一価アゴニストよりも強力な鎮痛を生じさせた。Mrg KOマウスにおけるモルヒネ誘導性の神経および疼痛抑制は、野生型マウスのそれに比べて大きく低下していた。われわれの結果から、MORの正の機能的調節に至るMrgC11-MOR相互作用が明らかとなった。MrgCはヒトMrgX1と遺伝的均一性および機能的類似性を共有している。したがって、Mrgシグナル伝達によるMOR機能のこのような正の制御を利用することで、感覚ニューロン特異的な方法でモルヒネ鎮痛を増強し、中枢性副作用を抑えられると考えられる。

Citation: S.-Q. He, Q. Xu, V. Tiwari, F. Yang, M. Anderson, Z. Chen, S. A. Grenald, S. N. Raja, -opioid receptors in sensory neuronsµX. Dong, Y. Guan, Oligomerization of MrgC11 and enhances morphine analgesia. Sci. Signal. 11, eaao3134 (2018).

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