• ホーム
  • マンガンはミクログリア細胞においてNLRP3インフラマソームシグナル伝達を活性化し、エクソソームによるASC放出を増やす

マンガンはミクログリア細胞においてNLRP3インフラマソームシグナル伝達を活性化し、エクソソームによるASC放出を増やす

Manganese activates NLRP3 inflammasome signaling and propagates exosomal release of ASC in microglial cells

Research Article

Sci. Signal. 08 Jan 2019:
Vol. 12, Issue 563, eaat9900
DOI: 10.1126/scisignal.aat9900

Souvarish Sarkar1,*, Dharmin Rokad1, Emir Malovic1, Jie Luo1, Dilshan S. Harischandra1, Huajun Jin1, Vellareddy Anantharam1, Xuemei Huang2, Mechelle Lewis2, Arthi Kanthasamy1, and Anumantha G. Kanthasamy1,†

1 Department of Biomedical Sciences, Parkinson Disorders Research Laboratory, Iowa Center for Advanced Neurotoxicology, Iowa State University, 2062 Veterinary Medicine Building, Ames, IA 50011, USA.
2 Penn State Health Milton S. Hershey Medical Center, Hershey, PA 17033, USA.

† Corresponding author. Email: akanthas@iastate.edu

* Present address: Department of Pathology, Brigham and Women's Hospital, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.

要約

慢性の持続的な炎症は、神経変性疾患などの多くの病的状態の基礎となる。二価マンガン(Mn2+)曝露は、炎症を増加させることによって神経毒性を促進する可能性がある。本研究では、Mn2+ が多タンパク質NLRP3インフラマソーム複合体を活性化し、神経炎症を促進するかどうかを検討した。活性化されたマウスミクログリア細胞をMn2+に曝露すると、NLRP3存在量、カスパーゼ-1切断、炎症性サイトカインインターロイキン-1β(IL-1β)の成熟が大幅に増加した。マウスをMn2+に曝露した場合も、脳ミクログリア細胞に同様の影響が認められた。さらに、Mn2+はミクログリア細胞において、ミトコンドリアのATP産生、基礎呼吸速度、予備能を低下させた。これらのデータから、Mn誘発性のミトコンドリア異常が、インフラマソームシグナルの増幅を引き起こしたことが示唆される。Mnが、エクソソームにおいてインフラマソームアダプタータンパク質ASCの細胞間伝播を誘導することが見出された。さらに、Mn処理マウスのエクソソームに曝露された、プライミングされたミクログリア細胞は、対照処理マウスのエクソソームに曝露された細胞よりも多くのIL-1βを放出した。マンガンを含有する煙霧に曝露された溶接工の血漿エクソソームには、対応する対照群の血漿エクソソームと比べて、多くのASCが含まれることも観察された。これらの結果を総合すると、二価金属マンガンは、NLRP3インフラマソームシグナル伝達とエクソソームによるASC放出の重要な増幅因子として作用することが示唆される。

Citation: S. Sarkar, D. Rokad, E. Malovic, J. Luo, D. S. Harischandra, H.Jin, V. Anantharam, X.Huang, M. Lewis, A. Kanthasamy, A. G. Kanthasamy, Manganese activates NLRP3 inflammasome signaling and propagates exosomal release of ASC in microglial cells. Sci. Signal. 12, eaat9900 (2019).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2019年1月8日号

Editors' Choice

併用療法は戦略のゲームだ

Research Article

マンガンはミクログリア細胞においてNLRP3インフラマソームシグナル伝達を活性化し、エクソソームによるASC放出を増やす

ホスファターゼPTPROtのTyr399のリン酸化はin vivoで破骨細胞活性と骨量を調節する分子スイッチになっている

最新のResearch Article記事

2025年04月22日号

がん細胞の再上皮化がオートファジーとDNA損傷を増加させる:乳がんの休眠と再発への影響

2025年04月08日号

統合失調症治療薬チオチキセンはアルギナーゼ1および連続的なエフェロサイトーシスを誘導することによってマクロファージを刺激して病原性細胞を除去する

2025年04月01日号

RIPK3はニューロンでRHIMドメイン依存性の抗ウイルス炎症転写を調整する

2025年03月25日号

細胞内RNAに結合するループス由来自己抗体はcGASに媒介される腫瘍免疫を活性化し、RNAを細胞へ送達することができる

2025年03月18日号

転移性前立腺がんにおいてキナーゼPLK1は、抗アンドロゲン剤エンザルタミドに対するヘッジホッグシグナル伝達依存性の耐性を促進する