• ホーム
  • ホスファターゼPTPROtのTyr399のリン酸化はin vivoで破骨細胞活性と骨量を調節する分子スイッチになっている

ホスファターゼPTPROtのTyr399のリン酸化はin vivoで破骨細胞活性と骨量を調節する分子スイッチになっている

Phosphorylation of the phosphatase PTPROt at Tyr399 is a molecular switch that controls osteoclast activity and bone mass in vivo

Research Article

Sci. Signal. 08 Jan 2019:
Vol. 12, Issue 563, eaau0240
DOI: 10.1126/scisignal.aau0240

Lee Roth1,*, Jean Wakim1,*,†, Elad Wasserman1,*,‡, Moran Shalev1, Esther Arman1, Merle Stein2, Vlad Brumfeld3, Cari A. Sagum4, Mark T. Bedford4, Jan Tuckermann2, and Ari Elson1,§

1 Department of Molecular Genetics, Weizmann Institute of Science, Rehovot 76100, Israel.
2 Institute of Comparative Molecular Endocrinology, University of Ulm, Ulm 89081, Germany.
3 Department of Chemical Research Support, Weizmann Institute of Science, Rehovot 76100, Israel.
4 Department of Epigenetics and Molecular Carcinogenesis, University of Texas MD Anderson Cancer Center, Smithville, TX 78957, USA.

§ Corresponding author. Email: ari.elson@weizmann.ac.il

* These authors contributed equally to this study.

† Present address: Merck KGaA, Darmstadt, Germany.

‡ Present address: Aposense Ltd., Petach Tikva, Israel.

要約

破骨細胞による骨の再吸収は、骨の恒常性維持に重要である。キナーゼSrcは、破骨細胞内で受容体型チロシンホスファターゼPTPROtによって活性化され、破骨細胞活性を亢進する。しかし、置かれた状況によっては、PTPROtはSrc活性を阻害することもある。本稿では、in vivoおよびin vitroの実験によって、PTPROtには二機能性があり、Srcの抑制性残基Tyr527と活性化残基Tyr416の両方を脱リン酸化できることを示す。野生型マウスとPTPROtノックアウトマウスの骨量は同等であったが、内因性PTPROtのC末端リン酸化部位であると推定されるTyr399をフェニルアラニンで置換したマウスでは、骨量が増加し、破骨細胞活性が低下していた。このノックインマウス由来の破骨細胞ではSrc活性も低下していた。培養細胞および両マウス株由来の破骨細胞での実験では、Tyr399がリン酸化されていない状態のPTPROtはSrcの活性化部位pTyr416の脱リン酸化を引き起こした。対照的に、Tyr399のリン酸化は、PTPROtはGrb2を介したSrcの動員やSrcの抑制性部位Tyr527の脱リン酸化を可能にし、Src活性を刺激した。われわれは、PTPROtのTyr399の可逆的リン酸化がSrcに対するPTPROtの相反する活性を選択する分子スイッチとなって干渉可能なシグナル伝達出力を維持しており、in vivoにおいて、このリン酸化イベントを阻害することによって生理学的作用を誘導できると結論づける。たいていの受容体型チロシンホスファターゼには、C末端にリン酸化部位候補が存在することから、われわれは、その部位のリン酸化を阻止する、またはそのリン酸化によって引き起こされる作用を阻害することが、受容体型チロシンホスファターゼの触媒活性の抑制に代わる手法となり、治療効果をもたらす可能性があることを提唱する。

Citation: L. Roth, J. Wakim, E. Wasserman, M. Shalev, E. Arman, M. Stein, V. Brumfeld, C. A. Sagum, M. T. Bedford, J. Tuckermann, A. Elson, Phosphorylation of the phosphatase PTPROt at Tyr399 is a molecular switch that controls osteoclast activity and bone mass in vivo. Sci. Signal. 12, eaau0240 (2019).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2019年1月8日号

Editor's Choice

併用療法は戦略のゲームだ

Research Article

マンガンはミクログリア細胞においてNLRP3インフラマソームシグナル伝達を活性化し、エクソソームによるASC放出を増やす

ホスファターゼPTPROtのTyr399のリン酸化はin vivoで破骨細胞活性と骨量を調節する分子スイッチになっている

最新のResearch Article記事

2024年4月9日号

前立腺がんにおいて脂質合成を阻害するとDNA損傷が誘導され、PARP阻害がもたらす細胞死が増加する

A型インフルエンザウイルス感染中にMiz1がI型インターフェロンの産生を抑制してウイルス除去を制限する

2024年4月2日号

フェリチンの重サブユニットは肝星細胞でICAM-1を介してNLRP3インフラマソームを刺激し、肝臓の炎症を促進する

2024年3月26日号

ミクログリア内のグルコシルセラミドの蓄積がマウスにおいてSTING依存性の神経炎症と神経変性を引き起こす

2024年3月19日号

運動によって誘導されるBDNFは運動後回復期に骨格筋脂質代謝のPPARδ依存性リプログラミングを促進する