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NPxxYモチーフの変異はα1Bおよびβ2-アドレナリン受容体の薬理学的に異なる立体配座状態を安定化する

Mutations in the NPxxY motif stabilize pharmacologically distinct conformational states of the α1B- and β2-adrenoceptors

Research Article

Sci. Signal. 12 Mar 2019:
Vol. 12, Issue 572, eaas9485
DOI: 10.1126/scisignal.aas9485

Lotten Ragnarsson1,*, Åsa Andersson1, Walter G. Thomas2, and Richard J. Lewis1,*

1 Institute for Molecular Bioscience, The University of Queensland, Brisbane, Queensland 4072, Australia.
2 School of Biomedical Sciences, The University of Queensland, Brisbane, Queensland 4072, Australia.

* Corresponding author. Email: l.ragnarsson@imb.uq.edu.au (L.R.); r.lewis@imb.uq.edu.au (R.J.L.)

要約

Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は、細胞外刺激を、多数の生理学的プロセスを調節する細胞内応答に変換する。GPCRの構造解析における結晶学的および生物物理学的進歩は、これら動的受容体についてのわれわれの理解を明確にする構造-機能関係の研究を助長してきたが、個々のGPCRの活性化およびシグナル伝達に関連する分子機構はこれまでの認識より複雑かもしれない。本研究では、α1Bアドレナリン受容体(α1B-AR)とβ2-ARの活性化に寄与する、膜貫通ヘリックス7(TMH7)上の保存NPxxYモチーフとTMH5内の保存チロシンとの間の提唱された水を介した水素結合活性化スイッチを調べた。変異導入によってこの結合を破壊すると、不活性状態の立体配座におけるα1B-ARおよびβ2-ARは安定化され、それぞれ下流のIP1およびcAMPシグナル伝達を刺激するアゴニスト効力の低下を示した。野生型受容体と比較して、すべてのα1B-ARおよびβ2-ARの不活性状態変異体について、アゴニスト媒介性のβアレスチン動員は、実質的に減少または消失した。しかしながら、不活性状態のβ2-ARは、アゴニスト親和性の低下を示したが、不活性状態のα1B-ARは、アゴニスト親和性の増強を有した。逆に、アンタゴニスト親和性は、α1B-ARおよびβ2-ARの両方の不活性状態の立体配座について変化しなかった。アゴニスト効力に及ぼすアゴニスト親和性の影響を除去することは、シグナル伝達効率の尺度を与え、それはα1B-AR変異体については著しく減少したが、β2-AR変異体についてはほとんど変化しなかった。これらの知見は、不活性状態のGPCR立体配座の薬理学的不均一性を強調しており、それにより、GPCRの異なる立体配座状態を標的とする薬物の合理的な設計を容易にするだろう。

Citation: L. Ragnarsson, Å. Andersson, W. G. Thomas, R. J. Lewis, Mutations in the NPxxY motif stabilize pharmacologically distinct conformational states of the a1B- and b2-adrenoceptors. Sci. Signal. 12, eaas9485 (2019).

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