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CRACチャネルはアストロサイトのCa2+シグナル伝達とグリオトランスミッター放出を制御して海馬のGABA作動性伝達を調節する
CRAC channels regulate astrocyte Ca2+ signaling and gliotransmitter release to modulate hippocampal GABAergic transmission
Sci. Signal. 21 May 2019:
Vol. 12, Issue 582, eaaw5450
DOI: 10.1126/scisignal.aaw5450
Anna B. Toth1, Kotaro Hori1, Michaela M. Novakovic1, Natalie G. Bernstein1, Laurie Lambot2, and Murali Prakriya1,*
1 Department of Pharmacology, Northwestern University Feinberg School of Medicine, Chicago, IL 60611, USA.
2 Department of Physiology, Northwestern University Feinberg School of Medicine, Chicago, IL 60611, USA.
* Corresponding author. Email: m-prakriya@northwestern.edu
要約
アストロサイト(星状膠細胞)は、脳内のグリア細胞(膠細胞)の主要なサブタイプであり、Ca2+によって制御されるシグナル伝達機構を介して、代謝の補助からグリオトランスミッターの放出までの数多くの機能を調節する。強い関心が集まっているにもかかわらず、アストロサイトのCa2+流入経路はまだ明らかにされておらず、Ca2+シグナル伝達がアストロサイトによって調節される下流のエフェクター機能と共役する仕組みについての機構的な洞察の妨げになっている。本稿でわれわれは、アストロサイトにおいて代謝調節型プリン作動性受容体とプロテアーゼ活性化受容体が刺激されたあとに持続性のCa2+振動シグナルを駆動させる主要なCa2+流入ルートとして、Orai1およびSTIM1にコードされているストア作動性Ca2+放出活性化Ca2+(CRAC)チャネルを同定した。シナプスフルオリン(synapto pHluorin)を光学的レポーターとして用い、アストロサイトのCRACチャネルの開孔が小胞の開口分泌を刺激してATPなどのグリオトランスミッターの放出を調節することを明らかにした。さらに、切片を用いた電気生理学的記録によって、プロテアーゼ活性化受容体によるアストロサイトの活性化がCA1海馬の介在ニューロンを刺激し、CA1錐体細胞の抑制性シナプス後電流を増強させることも明らかにされた。これらの結果は、CRACチャネルが、アストロサイトのCa2+シグナル伝達、グリオトランスミッター放出、アストロサイトを介したCA1錐体ニューロンの持続性抑制の調節因子として中心的役割を果たしていることを明らかにしている。
Citation: A. B. Toth, K. Hori, M. M. Novakovic, N. G. Bernstein, L. Lambot, M. Prakriya, CRAC channels regulate astrocyte Ca2+ signaling and gliotransmitter release to modulate hippocampal GABAergic transmission. Sci. Signal. 12, eaaw5450 (2019).