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ガレクチン3は角膜の修復中に上皮‐実質間のパラクリンシグナル伝達を惹起してタンパク質分解微小環境を形成する

Galectin-3 initiates epithelial-stromal paracrine signaling to shape the proteolytic microenvironment during corneal repair

Research Article

Sci. Signal. 16 Jul 2019:
Vol. 12, Issue 590, eaaw7095
DOI: 10.1126/scisignal.aaw7095

Dina B. AbuSamra, Jérôme Mauris, and Pablo Argüeso*

Schepens Eye Research Institute of Massachusetts Eye and Ear, Department of Ophthalmology, Harvard Medical School, Boston, MA 02114, USA.

* Corresponding author. Email: pablo_argueso@meei.harvard.edu

要約

組織の修復、発生、がんの進行中には、上皮細胞と間質線維芽細胞の間でパラクリン相互作用が生じる。この過程には、微小環境を調節するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)が不可欠である。本稿でわれわれは、糖結合タンパク質ガレクチン3が分泌型インターロイキン1β(IL-1β)のパラクリン活性を亢進することによって角膜微小環境のリモデリングを促進することを示した。in vitroの生細胞イメージングでは、単一の初代培養ヒト線維芽細胞との直接的な異種細胞間の接触後に培養ヒト上皮細胞クラスターのMMP9プロモーターが急速に活性化する様子が観察された。可溶性の遺伝子組換え型ガレクチン3と上皮由来の内在性ガレクチン3は、いずれも線維芽細胞によるIL-1β分泌を誘導することによってMMP9活性を刺激した。in vivoでは、創傷を受けた角膜における基底膜の機械的な破損により、角膜実質のIL-1β量の増加と上皮のゼラチナーゼ活性量の増加が促進された。さらに、ガレクチン3欠損マウスの角膜では、創傷後にIL-1βは誘発されなかった。このようなパラクリン調節機構は、上皮‐間質間の相互作用におけるタンパク分解微小環境の調節の仕組みを理解するうえで幅広い重要性をもつ。

Citation: D. B. AbuSamra, J. Mauris, P. Argüeso, Galectin-3 initiates epithelial-stromal paracrine signaling to shape the proteolytic microenvironment during corneal repair. Sci. Signal. 12, eaaw7095 (2019).

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