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TRPV4-PI3Kγ複合体の細胞膜への移行が筋線維芽細胞の分化転換を駆動する
Translocation of TRPV4-PI3Kγ complexes to the plasma membrane drives myofibroblast transdifferentiation
Sci. Signal. 12 Nov 2019:
Vol. 12, Issue 607, eaau1533
DOI: 10.1126/scisignal.aau1533
Lisa M. Grove1, Maradumane L. Mohan2, Susamma Abraham1, Rachel G. Scheraga1,3, Brian D. Southern1,3, James F. Crish1, Sathyamangla V. Naga Prasad2, and Mitchell A. Olman1,3,*
1 Department of Inflammation and Immunity, Lerner Research Institute, Cleveland Clinic, Cleveland, OH 44195, USA.
2 Department of Cardiovascular and Metabolic Sciences, Lerner Research Institute, Cleveland Clinic, Cleveland, OH 44195, USA.
3 Respiratory Institute, Cleveland Clinic, Cleveland, OH 44195, USA.
* Corresponding author. Email: olmanm@ccf.org
要約
筋線維芽細胞は、いくつかの主要器官の線維性病態に寄与する主要因子である。線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化転換には、機械的シグナルとトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)シグナル伝達の両方が必要である。カチオンチャネルの一過性受容器電位バニロイド4(TRPV4)は、細胞外基質の硬直に対する機械感受性を介して筋線維芽細胞の分化転換とin vivoの線維症を媒介する重大なメディエーターである。本稿でわれわれは、TRPV4がホスホイノシチド3キナーゼγ(PI3Kγ)との相互作用を介してヒトおよびマウス肺線維芽細胞の分化転換を促進し、ナノモル親和性の細胞内TRPV4-PI3Kγ複合体を形成することを明らかにした。TGF-βはTRPV4-PI3Kγ複合体の細胞膜への動員を誘導し、TRPV4とPI3Kγの両方の活性を高めた。われわれは機能獲得法と機能欠損法を用いて、筋線維芽細胞の分化転換にはTRPV4とPI3Kγの両方が必要であることを、α平滑筋アクチンの産生量とストレスファイバーへの取り込み量の増加、細胞骨格の変化、1型コラーゲンの産生量、収縮力を評価することによって示した。PI3Kγ欠損細胞でPI3Kγの触媒サブユニット(p110γ)の多様な変異体を発現させたところ、TGF-βに誘導されるTRPV4の細胞膜への動員と筋線維芽細胞の分化転換にはp110γの非触媒性アミノ末端領域だけで必要十分であることが明らかになった。これらのデータは、TGF-βがPI3Kγの非標準の足場作用を刺激し、PI3KγがTRPV4-PI3Kγ複合体を細胞膜に動員し、それによって筋線維芽細胞の分化転換が促進されることを示唆している。TRPV4とPI3Kγの両方に多面的作用があることを考慮すると、両者間の相互作用を標的にすれば、筋線維芽細胞の分化転換を阻害する特異的な治療法につながる可能性がある。
Citation: L. M. Grove, M. L. Mohan, S. Abraham, R. G. Scheraga, B. D. Southern, J. F. Crish, S. V. Naga Prasad, M. A. Olman, Translocation of TRPV4-PI3Kγ complexes to the plasma membrane drives myofibroblast transdifferentiation. Sci. Signal. 12, eaau1533 (2019).