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オーファン(孤児)を世話する

Taking care of the orphans

Editor's Choice

Sci. Signal. 12 Nov 2019:
Vol. 12, Issue 607, eaba1532
DOI: 10.1126/scisignal.aba1532

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

S. R. Foster, A. S. Hauser, L. Vedel, R. T. Strachan, X.-P. Huang, A. C. Gavin, S. D. Shah, A. P. Nayak, L. M. Haugaard-Kedström, R. B. Penn, B. L. Roth, H. Bräuner-Osborne, D. E. Gloriam, Discovery of human signaling systems: Pairing peptides to G protein-coupled receptors. Cell 179, 895-908.e21 (2019).
Google Scholar

比較ゲノミクス、バイオインフォマティクスおよび生化学的アッセイにより、内因性ペプチとオーファンGPCRの組み合わせが可能に

要約

ペプチドホルモンと神経ペプチドに結合するGPCRが臨床的重要性をもつというエビデンスが増えつつあるものの、100を超えるGPCRについては、まだその内因性リガンドが不明である。これらはオーファンGPCR(oGPCR)と呼ばれている。Fosterらは、比較ゲノミクス、バイオインフォマティクス解析および機能アッセイを組み合わせ、17種類の内因性ペプチドリガンドと5種類のoGPCRを組み合わせるとともに、これまでにリガンドの特性が明らかであった9種類のGPCRについて、さらなるペプチドを特定した。著者らは比較ゲノミクスを用いてペプチド前駆体およびペプチドを特定し、ほぼすべての前駆体が、分泌に必要なN末端シグナルペプチドを含むことを確認した。クラスAのGPCRの特性を検討したところ、ペプチドリガンドに結合するものと非ペプチドリガンドに結合するものでは構造的に明確な相違があることが明らかとなった。次に著者らは、GPCRリガンドとなるのにふさわしい特性をもつペプチドを特定するため、ヒトプロテオーム全体を探った。彼らは合成ペプチドリガンドのライブラリを作製し、ペプチドによっておそらく活性化されると予想されるさまざまなoGPCRを発現している細胞株を作成した。最後に著者らは薬理学的および生化学的アッセイを行い、セカンドメッセンジャー産生を選定して、受容体の内部移行およびβ-アレスチンの動員を評価し、シグナル伝達反応に至るペプチド-受容体のペアを特定した。多数のこれらペプチドおよびGPCRはこれまで、特に生殖系および神経系といった疾患との関与が示唆されている。したがってこのようなコンビナトリアルアプローチから、5種類のGPCRがオーファンでなくなり、これまで知られていたペプチド-受容体ネットワークが拡大し、これらのペプチドおよびGPCRが生理機能および疾患において果たしている役割のさらなる調査が容易になった。

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2019年11月12日号

Editor's Choice

オーファン(孤児)を世話する

Research Article

TRPV4-PI3Kγ複合体の細胞膜への移行が筋線維芽細胞の分化転換を駆動する

ALK-1/SMAD/ATOH8経路は低酸素応答を減弱させ、肺動脈性肺高血圧症の発症を防止する

アミノ酸飢餓は中和抗体産生を増強させることによりワクチンの有効性を高める

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