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動的なパルミチン酸化がDKK1受容体であるCKAP4およびLRP6のマイクロドメインの局在を制御している

Dynamic palmitoylation controls the microdomain localization of the DKK1 receptors CKAP4 and LRP6

Research Article

Sci. Signal. 19 Nov 2019:
Vol. 12, Issue 608, eaat9519
DOI: 10.1126/scisignal.aat9519

Ryota Sada1, Hirokazu Kimura1, Yuko Fukata2,3, Masaki Fukata2,3, Hideki Yamamoto1, and Akira Kikuchi1,*

1 Department of Molecular Biology and Biochemistry, Graduate School of Medicine, Osaka University, 2-2 Yamadaoka, Suita 565-0871, Japan.
2 Division of Membrane Physiology, Department of Molecular and Cellular Physiology, National Institute for Physiological Sciences, National Institute of Natural Sciences, Okazaki 444-8787, Japan.
3 Department of Physiological Sciences, School of Life Science, SOKENDAI, The Graduate University for Advanced Studies, Okazaki 444-8787, Japan.

* Corresponding author. Email: akikuchi@molbiobc.med.osaka-u.ac.jp

要約

Dickkopf1(DKK1)は当初、Wnt共受容体である低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質5および6(LRP5/6)に結合し、クラスリンを介したそのエンドサイトーシスを誘導するWntシグナル伝達のアンタゴニストとして同定された。DKK1は細胞骨格関連タンパク質4(CKAP4)にも結合する。CKAP4は当初、小胞体(ER)タンパク質として同定されたが、種々のリガンドに対する受容体として細胞膜で機能することも確認されている。このDKK1-CKAP4経路は数種のヒトがんにおいて活性化されており、キナーゼであるPI3KおよびAKTを介したシグナル伝達の活性化により細胞増殖を促進する。われわれは、CKAP4とLRP6の両方が主に細胞膜の界面活性剤不溶性膜(DRM)画分にパルミチン酸化依存性に局在すること、さらにこれが細胞増殖を促進するためにはCKAP4のパルミチン酸化が必要であることを見出した。DKK1はアシルプロテイン・チオエステラーゼ(APT)によるCKAP4とLRP6の脱パルミチン酸化を誘導し、その結果これらを非DRM画分に移動させた。さらに両受容体のDKK1依存性の脱パルミチン酸化は、PI3K-AKT経路の活性化を必要とした。DKK1がCKAP4とLRP6に同時に結合することで、三成分複合体が形成されるに至った。LRP5/6のノックダウンにより、CKAP4を介したDKK1依存的AKT活性化およびがん細胞の増殖が低下したが、CKAP4のノックダウンはLRP5/6を介したWntシグナル伝達のDKK1依存性阻害に影響しなかった。これらの結果はCKAP4およびLRP6のパルミチン酸化状態がそれらのシグナル伝達に重要な役割を果たしていること、さらにLRP5/6がDKK1-CKAP4シグナル伝達を増強することを示している。

Citation: R. Sada, H. Kimura, Y. Fukata, M. Fukata, H. Yamamoto, A. Kikuchi, Dynamic palmitoylation controls the microdomain localization of the DKK1 receptors CKAP4 and LRP6. Sci. Signal. 12, eaat9519 (2019).

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