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カルモジュリンはファルネシル化KRAS4bの脂質部分を隔離することでその細胞膜局在化を阻害する
Calmodulin disrupts plasma membrane localization of farnesylated KRAS4b by sequestering its lipid moiety
Sci. Signal. 31 Mar 2020:
Vol. 13, Issue 625, eaaz0344
DOI: 10.1126/scisignal.aaz0344
Benjamin M. M. Grant1,2, Masahiro Enomoto1, Sung-In Back1,2, Ki-Young Lee1, Teklab Gebregiworgis1, Noboru Ishiyama1, Mitsuhiko Ikura1,2,*, and Christopher B. Marshall1,*
- 1 Princess Margaret Cancer Center, University Health Network, Toronto, Ontario M5G 1L7, Canada.
- 2 Department of Medical Biophysics, University of Toronto, Toronto, Ontario M5G 1L7, Canada.
* Corresponding author. Email: mitsu.ikura@uhnresearch.ca (M.I.); chris.marshall@uhnresearch.ca (C.B.M.)
要約
KRAS4bは、細胞の増殖、分化および生存の根底にある複数のシグナル伝達経路を制御している、低分子グアノシントリホスファターゼ(GTPアーゼ)タンパク質である。KRAS4bが機能するためには、そのC末端がプレニル化され細胞膜に動員される必要があり、この細胞膜上でKRAS4bはRAFキナーゼファミリーを含むエフェクタータンパク質を活性化する。Ca2+感知タンパク質であるカルモジュリン(CaM)は、直接的なCa2+依存性の相互作用を通じてKRAS4bの局在化を制御することが示唆されているが、CaMとKRAS4bの機能がどのように相互作用するかについては議論が分かれている。今回われわれは、Ca2+と結合したCaMのC末端ローブの疎水性ポケット内にKRAS4bのプレニル基が隔離されていることを、結晶構造から明らかにし、さらに溶液核磁気共鳴(NMR)によって裏付けた。われわれが設計した蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)をベースとするバイオセンサープローブ(CaMeRAS)から、生存HeLaおよびHEK293細胞において、細胞外リガンドによってCa2+流入を刺激すると、KRAS4bはCa2+-CaM依存性に細胞膜から細胞質に可逆的に移行することが示された。これらの結果から、Ca2+シグナル伝達経路によるKRAS4b活性の阻害の根底にある機構が解明された。
Citation: B. M. M. Grant, M. Enomoto, S.-I. Back, K.-Y. Lee, T. Gebregiworgis, N. Ishiyama, M. Ikura, C. B. Marshall, Calmodulin disrupts plasma membrane localization of farnesylated KRAS4b by sequestering its lipid moiety. Sci. Signal. 13, eaaz0344 (2020).