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感覚ニューロンのイオンチャネルであるTRPV1とANO1の活性化を、局所Ca2+シグナルがつないでいる

Local Ca2+ signals couple activation of TRPV1 and ANO1 sensory ion channels

Research Article

Sci. Signal. 28 Apr 2020:
Vol. 13, Issue 629, eaaw7963
DOI: 10.1126/scisignal.aaw7963

Shihab Shah1, Chase M. Carver2, Pierce Mullen1, Stephen Milne1, Viktor Lukacs1, Mark S. Shapiro2, and Nikita Gamper1,3,*

  1. 1 School of Biomedical Science, Faculty of Biological Sciences, University of Leeds, Leeds, LS2 9JT, UK.
  2. 2 Department of Cell and Integrative Physiology, University of Texas Health San Antonio, San Antonio, TX 78229, USA.
  3. 3 Department of Pharmacology, Hebei Medical University, Shijiazhuang 050017, People's Republic of China.

* Corresponding author. Email: n.gamper@leeds.ac.uk

要約

ANO1(TMEM16A)は、有痛性(侵害)刺激により活性化される末梢の体性感覚ニューロンで発現しているCa2+活性化Cl-チャネル(CaCC)である。これらのニューロンはさらに、Ca2+透過性チャネルであり侵害性の熱のセンサーであるTRPV1も発現しており、これはANO1を活性化できる。今回われわれは、ラット後根神経節(DRG)ニューロンを用いて、TRPV1とANO1の間の複雑なチャネルカップリングの機構を明らかにした。CaCC活性とCa2+ダイナミクスの同時光学的モニタリングにより、TRPV1のリガンドであるカプサイシンがCaCCを活性化することを明らかにした。しかし、小胞体(ER)のCa2+ストアの枯渇は、カプサイシン誘導性のCa2+増加およびCaCC活性化を抑制した。このことは、ERからのCa2+放出がTRPV1誘導性のCaCC活性化に寄与することを示唆していた。細胞膜に局在するTRPV1チャネルによってERのCa2+ストアが枯渇することが、細胞不透過性TRPV1リガンドに曝露されたニューロンのER局在性Ca2+センサーによって実証された。近接ライゲーションアッセイから、ANO1、TRPV1およびIP3受容体IP3R1は多くの場合、互いに近傍に存在することが確認された。また確率的光学再構築顕微鏡(STORM)から、DRGニューロンでは全3つのチャネルが密に会合していることが確認された。まとめると、われわれのデータからDRGニューロンにはANO1を含有するマルチチャネルのナノドメインが存在することが解明され、TRPV1とANO1のカップリングにはERからのCa2+放出を必要とし、これがANO1の活性化の亢進に不可欠であることを示唆している。

Citation: S. Shah, C. M. Carver, P. Mullen, S. Milne, V. Lukacs, M. S. Shapiro, N. Gamper, Local Ca2+ signals couple activation of TRPV1 and ANO1 sensory ion channels. Sci. Signal. 13, eaaw7963 (2020).

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2020年4月28日号

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