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遊走性がん細胞のゴルジにおけるIGF-1受容体活性はTyr1250およびTyr1251の接着依存性リン酸化に依存する

IGF-1 receptor activity in the Golgi of migratory cancer cells depends on adhesion-dependent phosphorylation of Tyr1250 and Tyr1251

Research Article

Sci. Signal. 26 May 2020:
Vol. 13, Issue 633, eaba3176
DOI: 10.1126/scisignal.aba3176

Leonie Rieger, Sandra O'Shea, Grant Godsmark, Joanna Stanicka, Geraldine Kelly, and Rosemary O'Connor*

Cell Biology Laboratory, School of Biochemistry and Cell Biology, BioSciences Institute, University College Cork, Cork, Ireland.

* Corresponding author. Email: r.oconnor@ucc.ie

要約

インスリン様増殖因子1(IGF-1)シグナル伝達は、腫瘍の増殖とがんの進行を促進するが、IGF-1受容体(IGF-1R)を標的とする治療には十分な臨床的有効性が認められていない。がん細胞におけるIGF-1R活性と、それが近縁のインスリン受容体(IR)の活性とどのように異なるのかを検討するために、われわれは、IRに存在しない、IGF-1を介するがん細胞の生存、遊走および腫瘍形成性増殖に不可欠な、IGF-1R C末端尾部の2つのチロシンに注目した。Tyr1250およびTyr1251(Tyr1250/1251)は、細胞接着に依存する形で自己リン酸化された。このリン酸化がもたらす結果を検討するために、リン酸化を模倣するY1250E/Y1251E(EE)およびリン酸化されないY1250F/Y1251F(FF)変異型IGF-1Rを作製した。EE変異体は、キナーゼ活性とシグナル伝達において十分な能力を有したが、野生型またはFF受容体と比較して急速に内部移行し、分解された。IGF-1は、野生型およびEE型 IGF-1Rのゴルジ体内への蓄積を促進した一方、FF変異体は細胞膜にとどまった。ゴルジ体関連IGF-1Rシグナル伝達は遊走性がん細胞の特徴であり、ゴルジ体の破壊によってIGF-1誘導性のシグナル伝達と細胞遊走が障害された。新たな細胞接着が形成されると、IGF-1Rは一過性にゴルジ体から細胞膜に再局在化した。このように、Tyr1250/1251のリン酸化によってIGF-1Rのゴルジ体への移行とそこからのシグナル伝達が促進され、浸潤性のがん表現型を下支えした。この過程が、IGF-1Rシグナル伝達とIRシグナル伝達とを区別しており、細胞表面のIGF-1Rを標的とする抗体の臨床的有効性が低い一因である可能性がある。

Citation: L. Rieger, S. O'Shea, G. Godsmark, J. Stanicka, G. Kelly, R. O'Connor, IGF-1 receptor activity in the Golgi of migratory cancer cells depends on adhesion-dependent phosphorylation of Tyr1250 and Tyr1251. Sci. Signal. 13, eaba3176 (2020).

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