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TRPML1チャネルが血管平滑筋細胞におけるCa2+スパークを引き起こす

TRPML1 channels initiate Ca2+ sparks in vascular smooth muscle cells

Research Article

Sci. Signal. 23 Jun 2020:
Vol. 13, Issue 637, eaba1015
DOI: 10.1126/scisignal.aba1015

Pratish Thakore1,*, Harry A. T. Pritchard1,*, Caoimhin S. Griffin1,*, Evan Yamasaki1,*, Bernard T. Drumm2, Conor Lane1, Kenton M. Sanders2, Yumei Feng Earley1,2, and Scott Earley1,†

  1. 1 Department of Pharmacology, Center for Molecular and Cellular Signaling in the Cardiovascular System, University of Nevada, Reno School of Medicine, Reno, NV 89557-0318, USA.
  2. 2 Department of Physiology and Cell Biology, University of Nevada, Reno School of Medicine, Reno, NV 89557-0318, USA.

† Corresponding author. Email: searley@med.unr.edu

* These authors contributed equally to the work.

要約

TRPML1(一過性受容体電位ムコリピン1)はエンドソームとリソソームの膜に局在しているCa2+透過性非選択性陽イオンチャネルであり、細胞膜上では存在も機能もしていない。エンドソームおよびリソソームからTRPML1チャネルを通してサイトゾルに放出されるCa2+は、これらの細胞小器官の輸送、酸性化、およびその他の基本的な機能に重要である。本稿でわれわれは、完全に分化した収縮型血管平滑筋細胞(SMC)におけるTRPML1チャネルの機能を調べた。生細胞の共焦点イメージング試験を行い、脳動脈から新鮮分離したSMCのエンドソームおよびリソソームの大半が基本的に不動性であることを見出した。さらにナノスケールの超解像度顕微鏡法を用い、後期エンドソームおよびリソソームに存在するTRPML1チャネルは、筋小胞体(SR)上の2型リアノジン受容体(RyR2)と安定な複合体を形成することを見出した。RyR2を介したSRからのCa2+放出によって生じた自発的Ca2+シグナル(「Ca2+スパーク」)と、このときのCa2+依存性K+チャネルの活性は、血管収縮のバランス調整にきわめて重要である。われわれはこれらのシグナルが、TRPML1-ノックアウト(Mcoln1−/−)マウス由来のSMCでは基本的に存在していないことを見出した。さらにex vivoの圧力筋運動記録法により、この重要なシグナル伝達カスケードの欠損は、脳および腸間膜の抵抗動脈の血管収縮反応を増強することを見出した。In vivoのラジオテレメトリー試験から、Mcoln1−/−マウスは自然発生的に高血圧であることが示された。結論として、TRPML1はSMCにおけるCa2+スパークの発生、および血管の収縮性と血圧の調節に重要であると考えられる。

Citation: P. Thakore, H. A. T. Pritchard, C. S. Griffin, E. Yamasaki, B. T. Drumm, C. Lane, K. M. Sanders, Y. Feng Earley, S. Earley, TRPML1 channels initiate Ca2+ sparks in vascular smooth muscle cells. Sci. Signal. 13, eaba1015 (2020).

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