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フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)の宿主細胞への結合と侵入がIL-8およびCXCL1の分泌を誘導して結腸直腸がん細胞の遊走を駆動する

Fusobacterium nucleatum host-cell binding and invasion induces IL-8 and CXCL1 secretion that drives colorectal cancer cell migration

Research Article

Sci. Signal. 21 Jul 2020:
Vol. 13, Issue 641, eaba9157
DOI: 10.1126/scisignal.aba9157

Michael A. Casasanta1,*, Christopher C. Yoo1,*, Barath Udayasuryan2,*, Blake E. Sanders1, Ariana Umaña1, Yao Zhang3, Huaiyao Peng2, Alison J. Duncan1, Yueying Wang1, Liwu Li3, Scott S. Verbridge2, and Daniel J. Slade1,†

  1. 1 Department of Biochemistry, Virginia Polytechnic Institute and State University, Blacksburg, VA 24061, USA.
  2. 2 Laboratory of Integrative Tumor Ecology, and Virginia Tech-Wake Forest School of Biomedical Engineering and Sciences, Blacksburg, VA 24061, USA.
  3. 3 Department of Biological Sciences, Virginia Polytechnic Institute and State University, Blacksburg, VA 24061, USA.

† Corresponding author. Email: dslade@vt.edu

* These authors contributed equally to this work.

要約

フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)は結腸直腸がん(CRC)の進行加速に関与しており、患者の生検で転移性CRC細胞内にみられる。本稿でわれわれは、CRC細胞および共培養された免疫細胞への細菌の侵入によって、CRC転移に関連する可能性のある差次的なサイトカイン分泌が誘導されることを明らかにした。われわれは改変型ガラクトースキナーゼのマーカーレス遺伝子欠損法を用いて、F. nucleatumが細菌表面のアドヘシンFap2を介して培養HCT116 CRC細胞に侵入することを見出した。その後、Fap2に依存した侵入によって炎症性サイトカインIL-8およびCXCL1の分泌が誘導され、これに伴ってCRCが増悪し、HCT116細胞の遊走が促進された。F. nucleatum感染HCT116細胞の培養上清はナイーブ細胞の遊走を引き起こしたが、培養上清からCXCL1とIL-8を枯渇させるとナイーブ細胞の遊走は阻止された。ガラクトース糖、L-アルギニン、抗膜タンパク質中和抗体、あるいはfap2欠損によってF. nucleatumの宿主細胞への結合と侵入を阻止すると、HCT116細胞からのサイトカイン分泌と細胞の遊走は減弱した。F. nucleatumは腫瘍微小環境で免疫細胞の動員も誘導する。だが、好中球とマクロファージでは、細菌に誘導されるサイトカインの分泌はFap2非依存的であった。このように今回の知見は、F. nucleatumが免疫細胞とがん細胞のシグナル伝達と遊走を直接的にも間接的にも調節していることを示している。腫瘍におけるIL-8とCXCL1の産生量の増加は、転移の可能性の増大、細胞播種の促進、予後の悪化、腫瘍に関連するマクロファージと線維芽細胞の動員の亢進と関連することから、われわれは、宿主細胞への結合と侵入を、可能性のある方法としてワクチン接種または新規ガラクトシド化合物によって阻止することができれば、F. nucleatum関連のCRC転移を抑制するための有効な戦略になりえると提案する。

Citation: M. A. Casasanta, C. C. Yoo, B. Udayasuryan, B. E. Sanders, A. Umaña, Y. Zhang, H. Peng, A. J. Duncan, Y. Wang, L. Li, S. S. Verbridge, D. J. Slade, Fusobacterium nucleatum host-cell binding and invasion induces IL-8 and CXCL1 secretion that drives colorectal cancer cell migration. Sci. Signal. 13, eaba9157 (2020)

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