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キネトプラスト類特異的なホスファターゼKPP1はブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei)においてPLK活性を減弱させて鞭毛の継承を促進する

The kinetoplastid-specific phosphatase KPP1 attenuates PLK activity to facilitate flagellum inheritance in Trypanosoma brucei

Research Article

Sci. Signal. 09 Feb 2021:
Vol. 14, Issue 669, eabc6435
DOI: 10.1126/scisignal.abc6435

Tai An, Huiqing Hu, and Ziyin Li*

Department of Microbiology and Molecular Genetics, McGovern Medical School, University of Texas Health Science Center at Houston, Houston, TX 77030, USA.

* Corresponding author. Email: ziyin.li@uth.tmc.edu

要約

ブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei)は、重要なヒト寄生虫であり、細胞の運動性、形態形成、増殖、細胞間コミュニケーションを調節する鞭毛を有する。細胞周期中に新たに構築された鞭毛の継承には、Polo様キナーゼ相同体TbPLKとキネトプラスト類に特異的なタンパク質であるホスファターゼKPP1が必要であるが、TbPLKがKPP1に作用するのか、あるいはKPP1がTbPLKに作用するのかは明らかにされていない。本稿でわれわれは、TbPLKのThr125がKPP1によって脱リン酸化されると、鞭毛に付随するフック複合体構造内のTbPLK活性が低い状態で維持され、それによって鞭毛が確実に適切な位置に配置され付着されることを明らかにした。この脱リン酸化イベントには、TbPLKの活性化ループにあるリン酸化されたThr198がKPP1のN末端にあるPlus3ドメインによって認識され、TbPLKのリン酸化されたThr125がKPP1のC末端にある触媒ドメインによって脱リン酸化されることが必要であった。KPP1によってTbPLKが脱リン酸化されると、フック複合体タンパク質TbCentrin2の過剰リン酸化が阻止され、それによって、リン酸化されたTbCentrin2がタイミング良く脱リン酸化され、フック複合体の複製と鞭毛の配置と付着が可能となった。このように、KPP1はTbPLKを脱リン酸化することによってTbPLKの活性を減弱させ、鞭毛の継承を促進する。

Citation: T. An, H. Hu, Z. Li, The kinetoplastid-specific phosphatase KPP1 attenuates PLK activity to facilitate flagellum inheritance in Trypanosoma brucei. Sci. Signal. 14, eabc6435 (2021).

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