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シロイヌナズナ(Arabidopsis)では原形質連絡に局在するタンパク質とROSが光誘導性の速やかな全身シグナル伝達を引き起こす

Plasmodesmata-localized proteins and ROS orchestrate light-induced rapid systemic signaling in Arabidopsis

Research Article

Sci. Signal. 23 Feb 2021:
Vol. 14, Issue 671, eabf0322
DOI: 10.1126/scisignal.abf0322

Yosef Fichman1, Ronald J. Myers Jr.1, DeAna G. Grant2, and Ron Mittler1,3,*

  1. 1 The Division of Plant Sciences and Interdisciplinary Plant Group, College of Agriculture, Food and Natural Resources, Christopher S. Bond Life Sciences Center, University of Missouri, 1201 Rollins St, Columbia, MO 65201, USA.
  2. 2 Electron Microscopy Core Facility, University of Missouri, W136 Veterinary Medicine Building 1600 East Rollins Street, Columbia, MO 65211, USA.
  3. 3 Department of Surgery, University of Missouri School of Medicine, Christopher S. Bond Life Sciences Center, University of Missouri, 1201 Rollins St, Columbia, MO 65201, USA.

* Corresponding author. Email: mittlerr@missouri.edu

要約

非生物的ストレスのエピソードが生じた際の植物の生存には、全身シグナル伝達および全身獲得順化(systemic acquired acclimation:SAA)が重要である。これらのプロセスは、ストレスを感知する一次組織(局所組織)から植物全体(全身組織)まで延びる、細胞間シグナル伝達イベントの連鎖に依存している。活性酸素種(ROS)およびCa2+は、このような細胞間機構に関与すると考えられている主要なシグナル伝達分子である。本稿でわれわれは、高い光ストレスの局所的処理に対してシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の全身性応答が生じ、これによって局所的なROSの蓄積に至ること、またこのためにはrespiratory burst oxidase homolog D(RBOHD)により産生されるROSが必要であったことを報告する。ROSは、PD-localized protein 1(PDLP1)およびPDLP5依存性に細胞間輸送を亢進して原形質連絡の孔径を拡大させ、このプロセスは全身性ROSシグナルの伝播およびSAAに不可欠であった。さらにこの全身シグナル伝達プロセスには、アクアポリン、並びにグルタミン酸受容体様(GLR)、機械刺激感受性の小コンダクタンス様(MSL)、および環状ヌクレオチド依存性(CNGC)ファミリーに属する複数のCa2+透過性チャネルが関与していた。ただし、これらのチャネルは主に、全身性のROS波の経路に沿った各細胞内の全身性シグナル増幅に必要であり、また局所および全身の蓄積を確立するために必要であった。このようにシロイヌナズナでは、PDおよびRBOHDにより生成されるROSが、光ストレス誘発性の速やかな全身シグナルの細胞間伝播を引き起こしている。

Citation: Y. Fichman, R. J. Myers Jr., D. G. Grant, R. Mittler, Plasmodesmata-localized proteins and ROS orchestrate light-induced rapid systemic signaling in Arabidopsis. Sci. Signal. 14, eabf0322 (2021)

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