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Kindlin-3はインテグリンLFA1のサブユニット間の会合を妨害してRap1およびtalin1による正のフィードバックを活性化させる

Kindlin-3 disrupts an intersubunit association in the integrin LFA1 to trigger positive feedback activation by Rap1 and talin1

Research Article

Science Signaling 08 Jun 2021:
Vol. 14, Issue 686, eabf2184
DOI: 10.1126/scisignal.abf2184

Naoyuki Kondo, Yoshihiro Ueda, Tatsuo Kinashi*

Department of Molecule Genetics, Institute of Biomedical Science, Kansai Medical University, Hirakata, Osaka, 573-1010, Japan.

* Corresponding author. Email: kinashi@takii.kmu.ac.jp

要約

細胞内アダプタータンパク質talin1およびkindlin-3によるインテグリンの活性化は、リンパ球の接着にきわめて重要である。これらのアダプターは、双方向的な(インサイドアウトへ、およびアウトサイドインへの)活性化シグナルを介してインテグリンの活性化を協同的に調節する。われわれは、単一分子測定を用いて、talin1およびkindlin-3とインテグリンLFA1(αLβ2)との個々の動態、LFA1の活性化とLFA1を介した接着におけるtalin1およびkindlin-3の機能を明らかにした。β2サブユニットの尾部に結合するtalin1の動態は、リガンドであるICAM1に結合するLFA1の動態と一致した。ICAM1が結合すると、β2サブユニットの膜近位細胞質領域とkindlin-3のN末端ドメインとの一過性の相互作用が誘導され、インテグリンのサブユニット間の会合(αサブユニット/βサブユニットのクラスプ)が崩壊し、α/βヘテロ二量体の細胞外ドメインが非屈曲構造になった。このような立体構造の変化は、talinの桿状ドメインとアクトミオシン細胞骨格を必要とするtalin1とβ2サブユニットの尾部との高親和性結合を促進した。GTPアーゼRap1によって誘導されるインサイドアウトのシグナル伝達は、talin1およびkindlin-3のLFA1に対する結合をほとんど安定化させなかった。対照的に、リガンドによって誘導されるアウトサイドインのシグナル伝達、LFA1のオープン型の立体構造異性体の安定化、または、ずり応力によって、talin1およびkindlin-3のLFA1との会合の動態は大幅に変化し、Rap1とLFA1の両方の活性化が促進された。遊走中のリンパ球では、talin1とkindlin-3の非対称性分布は、細胞先端部にみられる低親和性立体構造から接着性の中心体でみられる高親和性立体構造へと変化するLFA1の成熟と相関していた。これらの結果は、kindlin-3がLFA1活性化の正のフィードバック回路を時空間的に調整してリンパ球の動的な接着と遊走を調節していることを示唆している。

Citation: N. Kondo, Y. Ueda, T. Kinashi, Kindlin-3 disrupts an intersubunit association in the integrin LFA1 to trigger positive feedback activation by Rap1 and talin1. Sci. Signal. 14, eabf2184 (2021).

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