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酵母ではコンビナトリアルなリン酸化がGタンパク質γサブユニットの構造と機能を調節している

Combinatorial phosphorylation modulates the structure and function of the G protein γ subunit in yeast

Research Article

Science Signaling 22 Jun 2021:
Vol. 14, Issue 688, eabd2464
DOI: 10.1126/scisignal.abd2464

Zahra Nassiri Toosi1, Xinya Su1, Ruth Austin1, Shilpa Choudhury1, Wei Li1,2, Yui Tik Pang3, James C. Gumbart3, Matthew P. Torres1,2*

  1. 1 School of Biological Sciences, Georgia Institute of Technology, Atlanta, GA 30332, USA.
  2. 2 Southeast Center for Mathematics and Biology, Georgia Institute of Technology, Atlanta, GA 30332, USA.
  3. 3 School of Physics, Georgia Institute of Technology, Atlanta, GA 30332, USA.

* Corresponding author. Email: mtorres35@gatech.edu

要約

タンパク質の天然変性領域(IDR)はしばしば、タンパク質の構造と機能を調節する働きをするコンビナトリアルな翻訳後修飾の標的となっている。新たなエビデンスから、ヘテロ三量体Gタンパク質の必須構成要素であるGタンパク質γサブユニットのN末端テールが、Gタンパク質シグナル伝達の天然変性のリン酸化依存性決定因子であることが示唆されている。今回われわれは、酵母のGγサブユニットSte18が、そのN末端のIDRにおいてコンビナトリアルな複数部位のリン酸化を受けていることを見いだした。Gタンパク質共役受容体(GPCR)の活性化および浸透ストレスはSer7でのリン酸化を誘導し、一方でグルコースと酸ストレスはSer3でのリン酸化を誘導し、これは細胞内pHの量的指標となっていた。各部位は異なる一連のキナーゼによってリン酸化されており、さらに、連続刺激への曝露とリン酸化部位の変異導入を通して明らかにされたように、1つの部位のリン酸化は他の部位のリン酸化に影響していた。最後にわれわれは、リン酸化によってIDRの構造の変化が生じ、さらにリン酸化イベントの多様な組み合わせが、その下流に位置するマイトジェン活性化プロテインキナーゼFus3の活性化の速度と大きさを調節したことを明らかにした。これらのデータから、天然変性タンパク質の中でもGγサブユニットが、コンビナトリアルな翻訳後修飾を受けてシグナル伝達経路のアウトプットを支配していることが示された。

Citation: Z. Nassiri Toosi, X. Su, R. Austin, S. Choudhury, W. Li, Y. T. Pang, J. C. Gumbart, M. P. Torres, Combinatorial phosphorylation modulates the structure and function of the G protein γ subunit in yeast. Sci. Signal. 14, eabd2464 (2021).

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