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LRRK2によるAP2M1リン酸化サイクルの調節異常はエンドサイトーシスを阻害し、ドパミン神経変性を誘発する
Dysregulation of the AP2M1 phosphorylation cycle by LRRK2 impairs endocytosis and leads to dopaminergic neurodegeneration
Science Signaling 27 Jul 2021:
Vol. 14, Issue 693, eabg3555
DOI: 10.1126/scisignal.abg3555
Qinfang Liu1,2, Judith Bautista-Gomez3, Daniel A. Higgins3, Jianzhong Yu2,4*, Yulan Xiong1,2*
- 1 Department of Neuroscience, University of Connecticut School of Medicine, Farmington, CT 06030, USA.
- 2 Department of Anatomy and Physiology, Kansas State University College of Veterinary Medicine, Manhattan, KS 66506, USA.
- 3 Department of Chemistry, Kansas State University, Manhattan, KS 66506, USA.
- 4Department of Physiology and Neurobiology, University of Connecticut, Storrs, CT 06269, USA.
* Corresponding author. Email: yxiong@uchc.edu (Y.X.); jianzhong.yu@uconn.edu (J.Y.)
要約
キナーゼLRRK2の変異とエンドサイトーシス輸送の障害はいずれもパーキンソン病(PD)の発症機序と関連している。マウスのドパミン作動性ニューロンにおけるPD関連LRRK2変異の発現は、クラスリン介在性エンドサイトーシス輸送を阻害することが明らかになっている。本稿でわれわれは、LRRK2とエンドサイトーシスとを関連付けている分子機構を調べ、LRRK2が、クラスリン介在性エンドサイトーシス装置のコア要素であるアダプタータンパク質AP2(AP2M1)のµ2サブユニットと結合し、これをリン酸化することを明らかにした。ヒトSH-SY5Y細胞およびマウスのニューロンと組織の解析から、LRRK2の存在量またはキナーゼ機能の喪失により、クラスリン被覆小胞(CCV)の初期形成に必要なAP2M1のリン酸化が低下することが明らかとなった。一方、LRRK2の過剰発現またはパーキンソン病と関連する機能獲得型変異LRRK2(G2019S)の発現は、後期におけるCCVからのAP2M1の脱被覆を阻害し、新たなCCV形成サイクルを阻止した。このように、適切なエンドサイトーシスが確実に行われるためには、LRRK2の存在量と活性が調整される必要がある。LRRK2ノックアウトマウスおよびG2019Sノックインマウスにおいて、脳のAP2M1リン酸化は制御不能であったが、甲状腺組織におけるAP2M1リン酸化制御は正常であった。このことは、エンドサイトーシスに組織特異的な制御機構があることを示唆している。さらにわれわれは、ショウジョウバエのPDモデルにおいて、AP2M1のLRRK2依存的リン酸化がドパミン神経変性を媒介していたことを明らかにした。まとめるとこれらの知見は、PDの発症機序におけるLRRK2、AP2およびエンドサイトーシスの機構的関連性を提示している。
Citation: Q. Liu, J. Bautista-Gomez, D. A. Higgins, J. Yu, Y. Xiong, Dysregulation of the AP2M1 phosphorylation cycle by LRRK2 impairs endocytosis and leads to dopaminergic neurodegeneration. Sci. Signal. 14, eabg3555 (2021).