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熱ショックタンパク質27の活性はGPCRに誘発される炎症性の内皮バリア崩壊後の回復に関連する

Heat shock protein 27 activity is linked to endothelial barrier recovery after proinflammatory GPCR-induced disruption

Research Article

SCIENCE SIGNALING 31 Aug 2021
Vol 14, Issue 698
DOI: 10.1126/scisignal.abc1044

Cara C. Rada1,2, Hilda Mejia-Pena1, Neil J. Grimsey3, Isabel Canto Cordova1,2, Joshua Olson4, Jacob Wozniak1,2,5, David J. Gonzalez1,5, Victor Nizet4,5, JoAnn Trejo1,*

  1. 1 Department of Pharmacology, University of California, San Diego, La Jolla, CA 92093, USA.
  2. 2 Biomedical Sciences Graduate Program, University of California, San Diego, La Jolla, CA 92093, USA.
  3. 3 Department of Pharmaceutical and Biomedical Sciences, University of Georgia, Athens, GA 30682, USA.
  4. 4 Department of Pediatrics, University of California, San Diego, La Jolla, CA 92093, USA.
  5. 5 Skaggs School of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences, University of California, San Diego, La Jolla, CA 92093, USA.

* Corresponding author. Email: joanntrejo@ucsd.edu

要約

血管の炎症は、内皮バリアの崩壊と組織浮腫を引き起こす。プロテアーゼ活性化受容体1(PAR1)などのいくつかの炎症メディエーターはGタンパク質共役受容体(GPCR)を介して作用し、炎症反応を誘発する。リガンドであるトロンビンによってPAR1が活性化されると、炎症誘発性のp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達が刺激されて内皮バリアの崩壊が促進される。われわれは、質量分析を用いたホスホプロテオーム解析によって、アクチンに結合する大きな多量体として存在する熱ショックタンパク質27(HSP27)を、p38を介してバリア完全性を調節する有望な候補として同定した。siRNAによってHSP27を枯渇させると、内皮細胞バリアの透過性が亢進され、トロンビン刺激後の回復が遅くなった。われわれはさらに、p38 MAPKの2つのエフェクターキナーゼ、MAPKAPK2(MK2)およびMAPKAPK3(MK3)が、HSP27のSer15、Ser78、Ser82を差次的にリン酸化することを明らかにした。トロンビンに刺激されるp38の活性化を阻害すると、3部位すべてでHSP27のリン酸化が遮断されたが、MK2を阻害すると、Ser15とSer78のみでリン酸化が減少した。Ser82のリン酸化を減少させるには、MK2とMK3の両方を阻害する必要があった。トロンビンに刺激されるp38-MK2-MK3シグナル伝達は、HSP27多量体の分解を誘導した。しかし、HSP27のリン酸化欠損変異体では、多量体の分解が欠損し、トロンビン刺激後のバリア回復の動態が変化していた。さらに、低分子阻害物質J2でHSP27多量体の再会合を遮断すると、PAR1活性化に応答して、in vitroでの内皮バリアの透過性とin vivoでの血管漏出が亢進した。これらの研究は、GPCRに刺激されてin vitroでは内皮バリアの回復の動態を調節し、in vivoでは血管漏出の動態を調節するp38-MK2-MK3シグナル伝達軸によって誘導されるHSP27のリン酸化と機能の特徴的な制御を明らかにするものである。

Citation: C. C. Rada, H. Mejia-Pena, N. J. Grimsey, I. Canto Cordova, J. Olson, J. Wozniak, D. J. Gonzalez, V. Nizet, J. Trejo, Heat shock protein 27 activity is linked to endothelial barrier recovery after proinflammatory GPCR-induced disruption. Sci. Signal. 14, eabc1044 (2021).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

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