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ラパマイシンの範囲を超えるmTORC1の生物学を解明する

Dissecting the biology of mTORC1 beyond rapamycin

Research Article

SCIENCE SIGNALING
21 Sep 2021 Vol 14, Issue 701
DOI: 10.1126/scisignal.abe0161

Guang Yang1,*,†, Deanne Francis1,†,‡, James R. Krycer1,§, Mark Larance1, Ziyang Zhang2, Chris J. Novotny2,||, Alexis Diaz-Vegas1, Kevan M. Shokat2, David E. James1,3,*

  1. 1 University of Sydney, School of life and Environmental Sciences, Charles Perkins Centre, Sydney, New South Wales 2006, Australia.
  2. 2 Cellular and Molecular Pharmacology, Howard Hughes Medical Institute, University of California, San Francisco, 600 16th Street, San Francisco, CA 94143, USA.
  3. 3 University of Sydney, Sydney Medical School, Sydney, New South Wales 2006, Australia.

* Corresponding author. Email: guang.yang@sydney.edu.au (G.Y.); david.james@sydney.edu.au (D.E.J.)

† These authors contributed equally to this work.

‡ Present address: College of Public Health, Medical and Veterinary Sciences, Division of Tropical Health and Medicine, Department of Biomedicine and Molecular and Cell Biology, James Cook University, Douglas, Queensland, Australia.

§ Present address: QIMR Berghofer Medical Research Institute, Brisbane, Queensland 4006, Australia.

|| Present address: Merck Research Laboratories, 213 E Grand Ave., South San Francisco, CA 94080, USA.

要約

ラパマイシンは、多くの生物で最長寿命を延ばし、飢餓への抵抗性を高める。ラパマイシンのこうした有益作用は、ラパマイシン標的タンパク質複合体1(mTORC1)に対する抑制作用を介したものだと考えられているが、ラパマイシンはmTORC1のキナーゼ活性を部分的に阻害するだけである。他にもmTORキナーゼ阻害薬は開発されている(Torin-1など)が、それらはmTORC2と交差反応しやすい。本稿でわれわれは、RapaLink1と呼ばれる第3世代mTOR阻害薬の特性を報告する。われわれは低用量RapaLink1が、ラパマイシンによるリン酸化阻害に感受性を示すものも抵抗性を示すものも含めて試験したすべてのmTORC1の基質のリン酸化を阻害する一方で、長期処理後でもmTORC2の活性には影響しないことを見出した。ラパマイシンと比べて、RapaLink1はmTORC1を阻害する効果がより高く、細胞増殖を強力に抑制し、オートファジーを誘導した。われわれはさらに、RapaLink1を用いて、mTORC1とmTORC2が細胞の解糖系とグルコース取り込みに差次的に作用することを示した。最後に、ショウジョウバエ(Drosophila)においてRapaLink1とラパマイシンが飢餓抵抗性に反対に作用することも明らかにした。RapaLink1がもつ複数の作用と合致して、mTORC1の活性を遺伝学的に遮断するとショウジョウバエの飢餓に対する感受性は高まり、ラパマイシンによって阻害可能な効果の範囲を超えて広がるmTORC1ネットワークの複雑性を反映していた。これらの知見は、mTORの生物学に関するわれわれの理解の幅を広げるものであり、ラパマイシンの有益作用の一端について洞察を与えるものである。

Citation: G. Yang, D. Francis, J. R. Krycer, M. Larance, Z. Zhang, C. J. Novotny, A. Diaz-Vegas, K. M. Shokat, D. E. James, Dissecting the biology of mTORC1 beyond rapamycin. Sci. Signal. 14, eabe0161 (2021).

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