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TRPV4による機械的感知が、硬さによって誘導される異物反応と巨細胞形成を媒介している

Mechanosensing by TRPV4 mediates stiffness-induced foreign body response and giant cell formation

Research Article

SCIENCE SIGNALING
2 Nov 2021 Vol 14, Issue 707
DOI: 10.1126/scisignal.abd4077

Rishov Goswami1, Rakesh K. Arya1, Shweta Sharma1, Bidisha Dutta1, Dimitar R. Stamov2, Xiaoping Zhu3, Shaik O. Rahaman1,*

  1. 1 Department of Nutrition and Food Science, University of Maryland, College Park, MD 20742, USA.
  2. 2 JPK BioAFM Business, Nano Surfaces Division, Bruker Nano GmbH, Am Studio 2D, 12489 Berlin, Germany.
  3. 3 Department of Veterinary Medicine, University of Maryland, College Park, MD 20742, USA.

* Corresponding author. Email: srahaman@umd.edu

要約

生体材料またはデバイスを軟部組織に植え込むことで、しばしば異物反応(FBR)が生じる。このFBRは、移植の失敗、組織損傷および患者の死亡を引き起こす可能性がある、いわゆる炎症状態である。マクロファージが集積・融合し、組織とインプラントの境界面に破壊作用をもつ異物巨細胞(FBGC)が形成され、それにより、筋線維芽細胞から生成される線維性の瘢痕組織がインプラントの周囲に発生する。われわれは以前、in vivoでFBRが生じるためには、またin vitroでFBGCが形成されるためには、機械刺激感受性イオンチャネルである一過性受容体電位バニロイド4(TRPV4)が必要であることを明らかにした。本稿でわれわれは、生化学的キューとは独立してインプラントの硬さによって誘導されるFBRのため、およびFBGC形成を促進する細胞内硬化のためには特に、TRPV4が必要であったことを報告する。TRPV4の欠損はin vivoにおいて、硬性のインプラント植込み部位におけるコラーゲン沈着ならびにマクロファージ、FBGCおよび筋線維芽細胞の集積を減少させ(ただし軟性のインプラントでは減少させなかった)、in vitroでは野生型線維芽細胞から筋線維芽細胞へのマクロファージ誘導性分化を阻害した。原子間力顕微鏡下の観察から、TRPV4が、in vivoではインプラント隣接組織の硬化のために、またin vitroでは融合性サイトカインにより誘導される細胞内硬化のために必要であることが示された。まとめるとこれらのデータは、TRPV4と基質の硬さとの間の交互の機能的相互作用により細胞骨格リモデリングと細胞の力が生じ、FBRの間のFBGC形成が促されるという機構を示唆している。

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