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マウスモデルにおいて虚血誘発性のKCC2機能低下を標的にすると治療抵抗性の新生児発作がレスキューされ、てんかん発作が軽減する

Targeting ischemia-induced KCC2 hypofunction rescues refractory neonatal seizures and mitigates epileptogenesis in a mouse model

Research Article

SCIENCE SIGNALING
9 Nov 2021 Vol 14, Issue 708
DOI: 10.1126/scisignal.abg2648

Brennan J. Sullivan1, Pavel A. Kipnis1, Brandon M. Carter1, Li-Rong Shao2, Shilpa D. Kadam1,3,*

  1. 1 Neuroscience Laboratory, Hugo Moser Research Institute at Kennedy Krieger, Baltimore, MD, USA.
  2. 2 Division of Pediatric Neurology, Department of Neurology, Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, MD, USA.
  3. 3 Department of Neurology, Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, MD 21205, USA.

* Corresponding author. Email: kadam@kennedykrieger.org

要約

新生児発作には、その早期発見、急性期管理、長期併存疾患において臨床的な課題がある。低酸素性虚血性脳症が原因であることが多く、第一選択の抗けいれん薬であるフェノバルビタールに抵抗性を示す頻度が高い。新生児発作におけるフェノバルビタールの無効に関して提唱されている機構の1つは、ニューロン特異的K+/Cl共輸送体2(KCC2)の存在量および機能の低下である。KCC2は塩化物イオンの恒常性を維持し、生後発達中にリン酸化を受けてGABA作動性阻害を促進する。今回われわれは、この機構が原因であるのかどうか、またKCC2の機能増強によってレスキューされうるかどうかを検討した。治療抵抗性虚血性新生児発作のCD-1マウスモデルでは、KCC2機能増強剤CLP290の投与により、フェノバルビタールの効果が回復し、KCC2の存在量が増加し、ビデオ脳波モニタリングにより定量したてんかん発作の発生が防止された。これらの効果は、KCC2のリン酸化不能変異体(S940A、またはT906AおよびT1007A)のノックイン発現によって阻害されたことから、KCC2のリン酸化は、新生児発作の易発性とCLP290を介するKCC2機能増強の両方を調節することが示唆された。したがってわれわれの結果は、KCC2が治療抵抗性の新生児発作に対する臨床的に重要な標的であることを実証し、今後の薬剤開発に向けた知見を提供している。

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