• ホーム
  • キナーゼPKD1を介するオキシトシン受容体へのリン酸化依存性ポジティブフィードバックが長期社会的記憶に寄与する

キナーゼPKD1を介するオキシトシン受容体へのリン酸化依存性ポジティブフィードバックが長期社会的記憶に寄与する

Phosphorylation-dependent positive feedback on the oxytocin receptor through the kinase PKD1 contributes to long-term social memory

Research Article

SCIENCE SIGNALING
1 Feb 2022 Vol 15, Issue 719
DOI: 10.1126/scisignal.abd0033

Fei Wang1,2,†, Xiang-Sha Yin1,†, Jie Lu1, Cheng Cen1,*, Yun Wang1,3,*

  1. 1 Department of Neurobiology, School of Basic Medical Sciences and Neuroscience Research Institute; Key Lab for Neuroscience, Ministry of Education of China and National Health Commission and State Key Laboratory of Natural and Biomimetic Drugs, Peking University, Beijing 100083, China.
  2. 2 Department of Neurology, Xuanwu Hospital, Capital Medical University, Beijing 100053, China.
  3. 3 PKU-IDG/McGovern Institute for Brain Research, Peking University, Beijing 100871, China.

* Corresponding author. Email: wangy66@bjmu.edu.cn (Y.W.); cencheng418@163.com (C.C.)

† These authors contributed equally to this work.

要約:

社会的記憶は、特定の個人の認識と識別を可能にする。これは、関係の構築などの、オキシトシン受容体(OXTR)によって仲介される社会的行動に不可欠である。われわれは、社会的記憶が関わる動物の行動における、OXTRの分子調節と機能を検討した。OXTRのSer261が、プロテインキナーゼD1(PKD1)によってリン酸化されることがわかった。神経細胞のCa2+シグナル伝達と行動解析により、内側扁桃体(MeA)にこの残基がリン酸化されない変異型OXTR(OXTR S261A)を発現するラットは、長期社会的記憶(LTSM)の障害を示すことが明らかになった。ラットにおいて干渉ペプチドを用いて、またはマウスにおいてPkd1のコンディショナルノックアウトによって、MeAの野生型OXTRのリン酸化を阻害すると、社会的記憶の保持が低下したが、OXTRのリン酸化模倣変異体の発現によってこれはレスキューされた。HEK293A細胞では、PKD1を介するOXTRのリン酸化によりGqタンパク質との結合が促進され、次いでOXTRを介するPKD1のリン酸化が促進されたことから、ポジティブフィードバックループが示された。さらに、PKD1リン酸化部位の保存された認識領域に変異がある、ヒトに認められる一塩基多型(rs200362197)を有するOXTRは、in vitroとHEK293A細胞において、S216A変異体と同様の活性化およびシグナル伝達の障害を示した。われわれの結果は、OXTRのリン酸化調節ループと、社会的行動におけるその重要な役割を説明しており、関連する障害においてさらに検討される可能性がある。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2022年2月1日号

Editors' Choice

上皮性悪性腫瘍がバリアを構築する

Research Article

キナーゼPKD1を介するオキシトシン受容体へのリン酸化依存性ポジティブフィードバックが長期社会的記憶に寄与する

Research Resources

タンパク質PAINT:シグナル伝達タンパク質を用いた超高分解能顕微鏡法

最新のResearch Article記事

2025年04月22日号

がん細胞の再上皮化がオートファジーとDNA損傷を増加させる:乳がんの休眠と再発への影響

2025年04月08日号

統合失調症治療薬チオチキセンはアルギナーゼ1および連続的なエフェロサイトーシスを誘導することによってマクロファージを刺激して病原性細胞を除去する

2025年04月01日号

RIPK3はニューロンでRHIMドメイン依存性の抗ウイルス炎症転写を調整する

2025年03月25日号

細胞内RNAに結合するループス由来自己抗体はcGASに媒介される腫瘍免疫を活性化し、RNAを細胞へ送達することができる

2025年03月18日号

転移性前立腺がんにおいてキナーゼPLK1は、抗アンドロゲン剤エンザルタミドに対するヘッジホッグシグナル伝達依存性の耐性を促進する