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IFN-γおよびオンコスタチンMに対するシグナル伝達応答に関する大半の細胞間の不均一性は、ノイズではなく表現型の多様性に起因している

Phenotypic variability, not noise, accounts for most of the cell-to-cell heterogeneity in IFN-γ and oncostatin M signaling responses

Research Article

SCIENCE SIGNALING
15 Feb 2022 Vol 15, Issue 721
DOI: 10.1126/scisignal.abd9303

Piotr Topolewski1, Karolina E. Zakrzewska1, Jarosław Walczak1, Karol Nienałtowski1, Gerhard Müller-Newen2, Abhyudai Singh3, Michał Komorowski1,*

  1. 1 Institute of Fundamental Technological Research, Polish Academy of Sciences, 02-106 Warsaw, Poland.
  2. 2 Institute of Biochemistry and Molecular Biology, RWTH Aachen University, 52074 Aachen, Germany.
  3. 3 Department of Electrical and Computer Engineering, University of Delaware, Newark, DE 19716, USA.

* Corresponding author. Email: m.komorowski@sysbiosig.org

要約:

細胞のシグナル伝達応答には著しい細胞間の不均一性が認められる。これはしばしば「分子的ノイズ」と呼ばれる生化学的反応の固有のランダムさに起因し、ノイズが高いことはシグナル伝達の忠実性が低いことを意味する。もう1つ、「分子表現型の多様性」と呼ばれる細胞間の分子的内容物の違いによって不均一性が生じることもあり、この場合は必ずしもシグナル伝達の不正確性を意味するものではない。これら2つのプロセスがシグナル伝達の不均一性にどの程度寄与しているかは不明である。本研究でわれわれは、サイトカインのシグナル伝達解析においてノイズと表現型の多様性とを区別するため、線維芽細胞を融合させて2核の融合細胞を作成した。1つの融合細胞に含まれる2つの核の応答は、同じ分子的内容物をもつ2細胞のシグナル伝達の結果を近似的に示す可能性があることから、これによりノイズの寄与を明らかにできると考えた。一方で異なる融合細胞を比較することで、表現型の多様性の寄与が解明されるはずである。その結果、サイトカインであるインターフェロン-γおよびオンコスタチンMによる刺激に対する一次応答(核内のリン酸化STATの存在量で評価)の違いの約90%は、個々の細胞の分子的内容物の違いに起因することが確認された。このようにわれわれのデータから、今回使用した系におけるサイトカインのシグナル伝達は、再現性と高い忠実性をもって行われていることが明らかとなった。

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