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別個のPEAK3の相互作用因子およびアウトプットが、PEAK偽キナーゼファミリーのシグナル伝達能を拡大する

Distinct PEAK3 interactors and outputs expand the signaling potential of the PEAK pseudokinase family

Research Article

SCIENCE SIGNALING
22 Feb 2022 Vol 15, Issue 722
DOI: 10.1126/scisignal.abj3554

Jianmei Hou1,2, Elizabeth V. Nguyen1,2, Minglyanna Surudoi3,4, Michael J. Roy3,4, Onisha Patel3,4, Isabelle S. Lucet3,4, Xiuquan Ma1,2,*, Roger J. Daly1,2,*

  1. 1 Cancer Program, Biomedicine Discovery Institute, Monash University, Melbourne, VIC 3800, Australia.
  2. 2 Department of Biochemistry and Molecular Biology, Monash University, Melbourne, VIC 3800, Australia.
  3. 3 Walter and Eliza Hall Institute of Medical Research, Parkville, VIC 3052, Australia.
  4. 4 Department of Medical Biology, University of Melbourne, Parkville, VIC 3052, Australia.

* Corresponding author. Email: hugh.ma@monash.edu (X.M.); roger.daly@monash.edu (R.J.D.)

要約:

偽キナーゼの足場として働くPEAK1およびPEAK2は、がん細胞の遊走および転移に関与することが示唆されている。われわれは、第3のファミリーメンバーであるPEAK3の、細胞シグナル伝達におけるその制御および役割を明らかにした。PEAK1およびPEAK2と同様に、PEAK3はホモ二量体とヘテロ二量体の両方の複合体を形成した。加えてPEAK1と同様に、アダプターであるGrb2およびCrkIIに結合した。ただし、PEAK1およびPEAK2とは異なり、ホモ二量体化したPEAK3はARF GTPアーゼ活性化タンパク質ASAP1、E3ユビキチンリガーゼCblおよびキナーゼPYK2とも相互作用した。PEAK3がGrb2およびASAP1と結合するためには、二量体化と、それに続く(Srcファミリーキナーゼによるリン酸化と同様の)Tyr24のリン酸化が必要であった。Grb2、CrkII、ASAP1、CblおよびPYK2との相互作用は、上皮増殖因子(EGF)による細胞刺激時と対照的なダイナミクスを示したが、これは一部、ホスファターゼPTPN12が介在するPEAK3の脱リン酸化によるものであった。間葉状MDA-MB-231乳がん細胞においてPEAK3を過剰発現させたとき、PEAK3の二量体化に依存する形で細胞伸長が亢進し、またPEAK3の発現を操作した実験から、この足場が細胞遊走を正に制御する役割をもつことが示された。PEAK1/2ダブルノックアウト乳腺上皮細胞であるMCF-10AでPEAK3を過剰発現させたとき、三次元培養において腺房の成長が亢進し、基底膜の完全性が損なわれ、浸潤が促進された。このうち後者2つの影響は、Grb2およびASAP1に対するPEAK3の結合に依存していた。PEAK1およびPEAK2はPEAK3の機能に対して定量的および時間的に影響していた。これらの知見から、細胞の増殖、遊走および浸潤を促進する足場の役割をもつ、統合的で、多様なシグナル伝達を行うPEAKファミリーメンバーとしてのPEAK3の特徴が明らかにされた。

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