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CNS毛細血管の内皮細胞と周皮細胞ではアデノシンシグナル伝達がATP感受性K+チャネルを活性化する

Adenosine signaling activates ATP-sensitive K+ channels in endothelial cells and pericytes in CNS capillaries

Research Article

SCIENCE SIGNALING
29 Mar 2022 Vol 15, Issue 727
DOI: 10.1126/scisignal.abl5405

Maria Sancho1,†, Nicholas R. Klug1,†, Amreen Mughal1, Masayo Koide1,2, Saul Huerta de la Cruz1, Thomas J. Heppner1, Adrian D. Bonev1,‡, David Hill-Eubanks1, Mark T. Nelson1,2,3,*

  1. 1 Department of Pharmacology, University of Vermont, Burlington, VT 05405-0068, USA.
  2. 2 Vermont Center for Cardiovascular and Brain Health, Larner College of Medicine, University of Vermont, Burlington, VT 05405-0068, USA.
  3. 3 Division of Cardiovascular Sciences, University of Manchester, Manchester M13 9PL, UK.

* Corresponding author. Email: mark.nelson@uvm.edu

† These authors contributed equally to this work.

‡ Deceased.

要約:

すべてのニューロンのごく近傍に存在する、毛細血管内皮細胞(cEC)と周皮細胞から構成される密な毛細血管網は、局所的および全体的な脳灌流を亢進するニューロンおよびグリア由来物質を感知する理想的な位置にある。血管細胞の膜電位(VM)は、脳活動を血管機能に変換する生理学的な橋渡しとなっている。他の血管床では、毛細血管網には認めらない血管平滑筋のVMを、ATP感受性K+(KATP)チャネルが制御している。本稿でわれわれは、脳のcECまたは周皮細胞に特異的に存在する細孔形成サブユニットKir6.1のドミナントネガティブ変異を発現しているトランスジェニックマウスを用い、KATPチャネルが両細胞種に存在し、VMを頑健に制御していることを実証した。さらに、シグナル伝達ヌクレオチドであるアデノシンはA2A受容体とGαs/cAMP/PKA経路を介して機能し、毛細血管細胞のKATPチャネルを活性化することを明らかにした。加えて、in vivoにおいてKATPチャネルを刺激すると脳血流量(CBF)が増加し、この作用は毛細血管の両細胞種においてドミナントネガティブ変異Kir6.1の発現により鈍化した。これらの知見は、CBFの調節においてcECと周皮細胞のKATPチャネルが重要な役割を果たしていることを立証している。

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