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カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の毒素カンジダリシンはp38経路とEGFR-ERK経路を介して異なる上皮炎症応答を仲介する
The Candida albicans toxin candidalysin mediates distinct epithelial inflammatory responses through p38 and EGFR-ERK pathways
SCIENCE SIGNALING
5 Apr 2022 Vol 15, Issue 728
DOI: 10.1126/scisignal.abj6915
Spyridoula-Angeliki Nikou1,2, Chunsheng Zhou3, James S. Griffiths2, Natalia K. Kotowicz2, Bianca M. Coleman3, Mary J. Green4, David L. Moyes2, Sarah L. Gaffen3, Julian R. Naglik2,*, Peter J. Parker1,5,*
- 1 Protein Phosphorylation Laboratory, Francis Crick Institute, London, UK.
- 2 Centre for Host-Microbiome Interactions, Faculty of Dentistry, Oral and Craniofacial Sciences, King's College London, London, UK.
- 3 Division of Rheumatology and Clinical Immunology, University of Pittsburgh, Pittsburgh, PA, USA.
- 4 Experimental Histopathology Laboratory, Francis Crick Institute, London, UK.
- 5 School of Cancer and Pharmaceutical Sciences, New Hunt's House, King's College London, London, UK.
* Corresponding author. Email: julian.naglik@kcl.ac.uk (J.R.N.); peter.parker@crick.ac.uk (P.J.P.)
カンジダ感染におけるMAPK経路
日和見病原真菌のカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)が分泌する毒素であるカンジダリシン(candidalysin)は、宿主細胞においてEGFRシグナル伝達といくつかのMAPK経路を刺激することによって、炎症を誘導する。Nikouらは、ヒト口腔上皮細胞をカンジダリシンで刺激すると、MAPKのERKおよびp38の下流の経路を介して、特異的な宿主細胞応答が誘導されることを見出した。活性化刺激に応じて、p38は炎症性サイトカインIL-6の放出またはリガンド非依存性のEGFRリン酸化を促進した。リガンド依存性のEGFRシグナル伝達により、ERKと転写因子c-Fosを介して、好中球刺激サイトカインの放出が促進された。マウスでは、病原体の早期クリアランスにp38が必要であったが、c-Fosは必要でなかった。このように、異なるMAPK経路が、カンジダリシンとカンジダ感染に対する別個の宿主細胞応答を仲介している。
要約:
病原真菌のカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)は、ペプチド毒素であるカンジダリシン(candidalysin)を分泌する。カンジダリシンは上皮細胞を損傷し、上皮成長因子受容体(EGFR)およびマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路と転写因子c-Fosを介して、自然炎症応答を促進する。培養口腔上皮細胞において、カンジダリシンはMAPKのp38を活性化し、熱ショックタンパク質27(Hsp27)活性化、IL-6放出、EGFRリン酸化を引き起こしたが、c-Fosの誘導には影響を及ぼさなかった。p38活性化は、EGFRではなく、MAPKキナーゼ(MKK)とキナーゼSrcが関与する2つの非冗長経路によって誘導され、これらのキナーゼはp38シグナル伝達出力を異なって制御した。MKKは主にIL-6のp38依存性放出を促進した一方、Srcはリガンド非依存的なEGFRのp38介在性リン酸化を促進した。同時に、カンジダリシンはリガンド依存的にもEGFR-ERK経路を活性化し、c-Fosの活性化と好中球活性化ケモカインG-CSFおよびGM-CSFの放出をもたらした。マウスでは、口腔C. albicans感染の早期クリアランス事象にp38が必要であったが、c-Fosは必要でなかった。これらの結果は、カンジダリシンがMAPK p38およびERK下流の経路を活性化し、C. albicans感染時の免疫活性化に異なって寄与する仕組みを説明するものである。