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外傷後の変形性関節症における軟骨分解と疼痛を、インターロイキン-6のシグナル伝達が性特異的に媒介する

Interleukin-6 signaling mediates cartilage degradation and pain in posttraumatic osteoarthritis in a sex-specific manner

Research Article

SCIENCE SIGNALING
26 Jul 2022 Vol 15, Issue 744
DOI: 10.1126/scisignal.abn7082

Yihan Liao1,2, Yinshi Ren2,†, Xin Luo3, Anthony J. Mirando2, Jason T. Long2,4, Abigail Leinroth2,4,Ru-Rong Ji3, Matthew J. Hilton2,4,*

  1. 1 Departments of Pharmacology and Cancer Biology, Duke University School of Medicine, Durham, NC 27710, USA.
  2. 2 Departments of Orthopaedic Surgery, Duke Orthopaedic Cellular, Developmental, and Genome Laboratories, Duke University School of Medicine, Durham, NC 27710, USA.
  3. 3 Center for Translational Pain Medicine, Department of Anesthesiology, Duke University Medical Center, Durham, NC 27710, USA.
  4. 4 Department of Cell Biology, Duke University School of Medicine, Durham, NC 27710, USA.

* Corresponding author. Email: matthew.hilton@duke.edu

† Present address: Center for Excellence in Hip Disorders, Texas Scottish Rite Hospital for Children, Dallas, TX 75219, USA.

痛みを伴う軟骨分解

炎症促進性サイトカインであるインターロイキン-6(IL-6)は、変形性関節症(OA)の特徴である関節の構造変化、及び炎症性疼痛と関連している。Liaoらは傷害誘導性OAモデルを用い、これら両方の疾患症状をIL-6が性特異的に促進することを実証した(PacificiによるFocus参照)。雄マウスにおいて、IL-6はキナーゼJAKと下流エフェクターSTAT3を通じて関節の軟骨変性を促進していた一方、JAKの下流エフェクターERKを通じて関節の神経支配と疼痛シグナル伝達を促進していた。これらの知見は、性特異的なOA治療の可能性を示唆するものである。

要約

変形性関節症(OA)および外傷後OA(PTOA)は、関節軟骨における異化プロセスと同化プロセスの不均衡、並びに関節全体の炎症促進性変化に起因するものであり、これらが関節の変性と疼痛をもたらしている。われわれは、PTOAにおいてインターロイキン-6(IL-6)のシグナル伝達が軟骨分解および疼痛に寄与するか否かを検討した。雄マウスにおけるIl6遺伝子欠損は、PTOAに関連した軟骨の異化、膝関節の神経支配、および侵害受容性シグナル伝達を抑制したが、PTOAに関連した軟骨下骨硬化または軟骨細胞アポトーシスを改善しなかった。このような効果は雌Il6−/−マウスでは認められなかった。膝関節損傷後の雄のIl6−/−マウスでは野生型マウスと比較し、膝関節および後根神経節(DRG)においてIL-6下流メディエーターであるSTAT3およびERKの活性化が低下していた。ヤーヌスキナーゼ(JAK)は、軟骨異化におけるSTATおよびERKシグナル伝達、並びに組織片におけるDRG疼痛シグナル伝達に重要であった。STAT3シグナル伝達は軟骨の異化に重要である一方、ERKシグナル伝達は神経突起の伸長および侵害受容性ニューロンの活性化を媒介していた。これらのデータから、IL-6が、PTOAに伴う軟骨分解と疼痛両方を性特異的に媒介していることを明らかとなり、さらにIL-6シグナル伝達下流エフェクターの組織特異的な寄与が特定された。これらは疾患修飾性OA薬の治療標的となる可能性がある。

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